このところ、日の丸のモチーフをしばしば見かける。というのも、その旗印のもと、パリ在住の日本人、フランス人有志による、震災の被災者支援の行動が様々な形で行われつつあるためだ。
パリ・凱旋門にはためく日の丸
ドイツに暮らす友人からもメールが届き、彼女らが新たにデザインしたロゴマークが、人々の手に渡り、それらが方々でプリントアウトされ、チャリティーコンサート会場、学校、幼稚園などでもたくさんの人々の目に触れているという。
3月19、20日、日の丸は凱旋門の前にも翻っていた。パリの凱旋門と言えば、世界中から押し寄せる観光客が一度は訪れるシャンゼリゼ通りを上りきったところにある名所中の名所。
革命記念日のパレードの起点となる、いわばフランスの中でも特に象徴的な場所である。ここに手製の日の丸を持参して、人々から寄せ書きを募ろうという試みが、週末の2日間にわたって行われた。発起人は漆原千賀子さん。パリ在住9年になる翻訳家の女性である。
「震災の数日後、パリの町を歩いていて、日本の国旗を1つも見かけないのを、とても残念に思いました。在仏の日本人のみなさんも、国民性として、どうしても内にこもってしまいがち」
「ほとんどがテレビやインターネットの映像を見ては、それぞれが泣き暮らしていたと思います。しかし、これではいけない。とにかく何かしなくてはという、いても立ってもいられない気持ちから、日の丸を持ってここに来ようと思ったのです」
道行くパリジャンが日の丸に寄せ書き
千賀子さんは日仏両方の言葉で、この試みをメールで友人、知人たちに送信し、さらにその友達の輪がこれを拡大させた。
土曜日の昼前、メトロの階段を上がり、凱旋門の前に千賀子さんが単身到着してみると、呼びかけに賛同してくれた数人の人々が、彼女を待ってくれていたという。
そこで彼らは、千賀子さんと友人たちが急遽こしらえた日の丸を広げ、道行く人々に寄せ書きを呼びかけた。
お手製の日の丸は全部で6枚。私がお邪魔した2日目の昼の時点では、1枚にざっと200人くらいの筆跡があるということだったから、トータルして千数百人という人々が、それぞれのお国の言葉で日本を応援するメッセージを書いてくれたことになる。