旅は移動であり、変化であり、出会いである。毎日、移動していれば、必ず誰かとの新たな出会いが生じる。異性との出会いが多ければ、恋愛に発展する可能性もなくはない。

 自然界において雄が雌を仕留めるのには、勢いと体力が必要である。若い野生動物は身体は引き締まっているし、人間の若者は希望に溢れ、笑顔は眩しく輝いている。

 しかし、中年は、若者よりも早く走ることができない。すると戦略が必要だ。草原を疾走するのではなく、石を抱いて木に登り、獲物が下を通過した際、石を落下させて仕留める、といった知恵を使わなければ獲物は捕獲できない。

「ゆきずり」ではなく「みちづれ」

南米アマゾン川から大西洋に船で向かう時、隣のハンモックにいたラテン美女

 長期旅行者は旅先での情報交換が不可欠である。1年以上、長期間にわたって旅をする場合、地域ごとの多くのガイドブックを持っていくことが難しい。よって移動手段、宿、食事、国境越えなど、先々で新しい情報を入手することになる。

 となると、中年男の旅行者が若い女性バックパッカーに話しかけることは、まったく不自然な行為ではない。そこで、面識ができると、一旦、別れても、向かう方向が同じ場合には、夜行バスや遺跡やビーチ、旅行者に評判の良いレストランやゲストハウスなど行く先々で再会する確率が高い。

 再会した2人は評判のレストランで食事し、同じ夜行バスの連座の席に身を寄せ合って眠り、次の目的地の安宿のドミトリーをシェアする。性的関係に発展するかしないかは別として、旅人は出会った異性の旅人と寝食をともにすることになる。