中国「一帯一路」首脳級会議開催へ 37か国参加、北朝鮮も招待

中国・北京の外務省での記者会見で「一帯一路」首脳級会議について話す王毅外相(2019年4月19日撮影)。(c)Nicolas ASFOURI / AFP〔AFPBB News

(福島 香織:ジャーナリスト)

 4月25~27日に北京で「第2回 一帯一路国際協力サミットフォーラム」が開催された。第1回を上回る37カ国首脳が参加したほか150カ国から5000人が集い、その期間だけで640億ドル規模のプロジェクトが調印されたという。

 今回のサミットの狙いは、昨年(2018年)どん底に落ちた一帯一路ブランドのイメージ、つまり「債務の罠」だとか「中国版植民地主義」だとか、資金調達の透明性の問題だとかを払拭するのが狙いで、習近平は賢明に国際標準のルールを尊重することや投資規模のスリム化についてアピールしていた。

「一帯一路」国際会議が閉幕、7兆円超の事業で参加国が合意 中国

中国・北京で、大経済圏構想「一帯一路」の国際会議閉幕後に記者会見する習近平国家主席(2019年4月27日撮影)。(c) WANG ZHAO / POOL / AFP〔AFPBB News

 だが、一帯一路に対する最大のブラックイメージであるウイグル弾圧問題についてはほとんど言及されていない。

 一帯一路の起点である新疆地域の治安を維持するために、平穏に暮らしていたウイグル人まで“再教育”施設に強制収容している状況について、日本を含めて一帯一路を支持する西側国家は言及しなかった。それどころかカザフスタンやキルギス、パキスタンといったイスラム国家は一帯一路の果実を得るために、中国のイスラム弾圧に目をつぶっている状況だ。

 一帯一路構想こそ、中国がことさらウイグル弾圧に力を入れる原因でもある。一帯一路を支持することは、世紀の民族弾圧に加担することではないか、という視点でこの問題を考えてみたい。

新疆地域(新彊ウイグル自治区)の位置(出所:Wikipedia)

ウイグル問題から目をそらす中央アジアの国々

 今回のサミットには、カザフスタンのナザルバエフ前大統領、キルギス、パキスタン、アゼルバイジャン、タジキスタン、ウズベキスタン、エジプト、ジブチの大統領・首相ら、中央アジア、アラブのイスラム国家の首脳も大勢参加した。彼らが習近平と会談したとき、言及したという話は聞いていない。

 中国のウイグル人迫害について正面から言及してきたトルコのエルドアン大統領は、2年前の第1回フォーラムには参加していたが、今回は欠席した。トルコはウイグルと同じテュルク系民族国家であり、中国の“再教育施設”に収容所されている、トルコでも人気のウイグル民族音楽家・アブドゥレヒム・ヘイットの死亡説が流れたときには、中国のウイグル人強制収容問題を「大きな恥」と激しい言葉で批判した。だが、トルコを除いて同じイスラム教を信仰していながら、ほとんどのイスラム国家がウイグル問題に見ないふりをしている。それどころか一部では素晴らしい政策、と肯定する声もある。