前原誠司外相が、わずか25万円の政治献金で辞任した。
外国人の献金といっても、中学生の頃からつき合いのある在日韓国人が日本名で献金したもので、受け付けた事務員は気がつかなかっただろう。前原氏は、献金の事実を知らなかったという。
これが事実なら、政治資金規正法による罰則の対象とはならない。にもかかわらず参議院で問責決議案が出されて紛糾することを恐れて辞任したことは、今後も同様の事件の続発を招き、国会をますます混乱させるだろう。
最近も京都大学などの入試で、ネット掲示板を使ってカンニングした受験生を警察が逮捕した。このような過剰コンプライアンスは、日本社会を蝕む病気である。
なぜこういうことになったのか、振り返ってみよう。
始まりは2003年の個人情報保護法
こういう症状が始まったきっかけは、私の記憶では2003年に施行された個人情報保護法である。
この頃、住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)が「プライバシーの侵害」だと騒がれ、日弁連(日本弁護士連合会)が「自己情報主権」なるものを唱えた。櫻井よしこ氏は「住基ネットは国民を裸で立たせるものだ」などと常軌を逸したキャンペーンを繰り広げた。
この結果、個人情報を厳重に規制する法律ができ、5000人以上の個人情報を持つ事業者はすべて規制の対象になった。
この「個人情報」とは個人名を含むので、実質的にすべての企業が規制対象になった。個人でさえ、年賀状ソフトやカーナビには数千万人の個人情報が入っているので、規制対象になる。
だから、すべての企業は個人情報の利用目的を特定し、それを本人に対して通知・公表し、本人の同意なく利用目的以外に利用してはならない。例えば企業のサーバーにある顧客の名前を営業に利用する時も、すべての顧客の同意が必要である。そんなことは不可能だから、ほとんどの企業は違法状態で、役所も見て見ぬふりをしている。