日本の個人消費の実態は?(写真はイメージ)

(花園 佑:ジャーナリスト)

 新聞や雑誌の経済記事はしばしば「個人消費の拡大を背景に・・・」「個人消費の冷え込みによって・・・」というように、景気動向の判断理由として個人消費の動向について言及します。しかし筆者は先日、ふと「今まで個人消費を示す統計データを見たことなんてあったっけ?」という疑問が浮かびました。マスコミの経済記事で、個人消費が前年比で何%増減したかというデータにはほとんどお目にかかったことがありません。

 個人消費動向に関する統計は、もちろん世の中に存在しています。けれども、日本のマスコミがそれらをきちんと分析して報道することは稀なようです。

 そこで今回は日本の個人消費の実態に迫るべく、政府や各業界団体が発表している売上統計データを調べてみました。

全体としては横ばいが続く

 今回、個人消費動向を調べるにあたって参照したのは主に以下のデータです。

・経済産業省が発表している「商業動態統計」の小売業売上高(販売額)
・スーパーマーケット業界団体の日本チェーンストア協会(CS協会)、全国スーパーマーケット協会(SM協会)による調査統計
・コンビニ業界団体の日本フランチャイズチェーン協会(FC協会)による調査統計
・百貨店業界団体の日本百貨店協会(百貨店協会)による調査統計

 まず、直近1年間における毎月の売上高変動率を見ていきましょう。

(なお、各協会が発表している前年同月比データには、当該月とその前年同月の売上高を単純に比較した「全店ベース」、比較期間中に開店・閉店した店舗を除外して比較した「既存店ベース」という2種類のデータが存在します。今回は市場全体の動向を探るという目的から、「全店ベース」の数値を引用することとしました。)