北朝鮮――。

 大多数の日本人にとっては不可解に映る。長い間解決されない拉致問題が重なり、怒りに狂っている国民も多い。日朝の間には外交関係が存在しない。一国家同士の関係として正常ではないのだ。

伸び続ける中朝貿易

中国、北朝鮮と軍駐留を協議か

中国と北朝鮮の国境、鴨緑江で、中国・遼寧省側から北朝鮮を双眼鏡で眺める中国の人たち〔AFPBB News

 もっとも民間レベルの貿易往来はある。2005年の日朝貿易額は1.94億ドルあった。

 参考までに、同年の韓朝貿易額は10.5億ドルである。この年の北朝鮮の対外貿易総額は30億ドルに達し、1991年以来最高記録をつけた。

 北朝鮮にとって、同盟国としての政治関係のみならず、経済関係としても、朝鮮戦争を共に戦った隣国―中国との関係は死活的に重要だ。

 2005年の中朝貿易は15.8億ドル、1999年時が3.7億ドルであるから、確実に伸びている。ここ20年における北朝鮮の対外貿易を見てみると、北朝鮮の対外貿易のなかで対中貿易が占める割合は、低くて50%、高ければ80%に達する。

 北朝鮮の原油の90%、消費物資の80%は中国からの輸入、あるいは援助である。

 中国税関局の統計を見てみよう。2008年、中朝貿易総額は27.93億ドルで、前年度比で41.3%アップした。そのうち、中国の対北朝鮮輸出が20.3%(前年度比プラス46%)、対北朝鮮輸入が7.6%(前年度比プラス30.2%)であった。

北朝鮮の貿易の7割以上が対中国

 中国からの輸出は石油やトウモロコシに代表されるエネルギー、食料、あとは生活日常品、北朝鮮からの輸出は石炭や鉄鉱石などの天然資源、魚介類など水産品が主である。

 2009年、中朝貿易も世界的な景気後退の影響を受けたが、貿易総額は26.8億ドルを維持した(参考までに、同年、中韓貿易1562億ドル、中日貿易2258億ドル、中米貿易3659億ドル)。

 同年、北朝鮮の対外貿易における対中貿易が占める割合は73%に達した。2010年に入っても、中朝貿易は伸び続ける。

 1月から4月の貿易額は7.2億ドル(前年度比プラス9.4%)、9~12月は10.73億ドルで、この期間における、北朝鮮の対中輸出は6.27億ドル。前年比で言うと2.5倍に膨れ上がった。