「世界は米による代理決断受け入れず」イラン大統領、米に猛反発

イランのハッサン・ロウハニ大統領(2018年4月25日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / ATTA KENARE〔AFPBB News

 米WTI原油先物価格は、「OPECをはじめとする主要産油国が近く協調減産を緩める」との思惑が広がったことで、1バレル=60ドル台半ばで推移している。直近のピーク時に比べ10%の下落である。

 6月2日、OPEC加盟国のサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェートなどが減産合意の遵守状況を点検する合同閣僚級監視委員会の非公式会合をクウェートで開催し、「各国が協調減産合意について連携を継続することが重要」とのメッセージを発した。それにもかかわらず、市場では「減産規模が日量50万~100万バレル縮小される」とするとの見方が強まっている(主要産油国は昨年1月から日量約180万バレルの減産を実施)。

 減産が緩和される根拠としてまず挙げられるのは、主要産油国が目標としていたOECD諸国の商業原油在庫が過去5年平均を2000万バレル下回ったことだ。また、OPEC加盟国のベネズエラの原油生産量が2016年の日量240万バレルから100万バレル減少し、下げ止まりを見せる気配が見られないことも、大きな支援材料である。

破竹の勢いで拡大する米国産原油の輸出

 一方、主要産油国にとっての頭痛の種である米国の原油生産量は日量1080万バレルと過去最高を更新した。南北アメリカ地域ではベネズエラの原油生産量の減少分(月ベースで日量10万バレル)を上回る勢いで、米国の原油生産量が増加している(月ベースで日量15万バレル超)。

 米国の原油生産拡大を牽引するのは、南部の内陸部に位置するパーミアン地区のシェールオイルである。製油所が集中するメキシコ湾岸へのパイプラインの輸送能力が限界を超えつつあることから、中継地であるオクラホマ州クッシングの在庫が増加。ここを受け渡し地点とするWTI原油の需給の緩みが意識されやすくなっている。