確定申告のシーズンも終わりに近づいてきた。2月15日から3月15日までの1カ月が確定申告の期間である。ポスターやテレビCMで告知されているので、確定申告というコトバ自体は比較的よく知られていることだろう。
だが、多くの人は所得税の確定申告は自分に関係ないことだと思って聞き流しているのではないだろうか。サラリーマンなど勤め人であれば源泉徴収の対象であり、納税に関しては実質的に勤務先にお任せ状態にある。高額の医療費が発生したり、災害に見舞われたりするなどよほどのことがない限り、還付金申告のために確定申告することもないだろう。
「国税庁リポート2017年」によれば、日本で確定申告している人は2169万人で、日本の総人口の17%に過ぎない(2016年度のデータ)。日本の就業者数は6440万人なので、単純にこの数字と比較しても、確定申告を行っている人のほうが少ないことは明らかだ。
国として税金の使い道を議論するのが予算審議であるが、衆議院でも参議院でも国会の予算委員会では、予算とその政策の中身に関する議論よりも、野党による与党のスキャンダル追求ばかりが行われる。国民は消費税の引き上げには敏感だが、税金の使い道を追及したり納税を拒否しようとする動きが拡がることはない。
つまるところ現在の日本では、国民の多くにタックスペイヤー(=納税者)意識が低いのではないか? 投票率が低いだけでなく、国民によって選出される国会議員にも、納税者の権利義務に関する感覚が乏しいのではないか?
今回は、日本国民の納税意識を規定している源泉徴収制度について、確定申告との対比を踏まえながら考えてみたい。