5月28日、ロシアの新型旅客機「MC-21」が初飛行した。先立つ5月5日に中国で「C919」が初飛行をしている。旅客機では後発組となるロシアと中国が、相次いで旅客機を生み出した。これから戦いを挑んでいく対象のボーイング、エアバスも交えつつ、この2機種を比較してみる。
同じクラスの共通点の多い旅客機
MC-21、C919ともだいたい150人が乗れる飛行機である。運行距離が5000キロ程度の路線に投入されることもあり、近距離便だけでなく近隣国への国際線でも利用されている。
現在はボーイングの「737」とエアバスの「A320」がこの市場を二分し、それぞれ年間500機製造しており合計で年間1000機となる。旅客機の市場の中で、このサイズの市場が数的には最も大きい。
ちなみに150人が乗れる飛行機は日本のリージョナルジェット「MRJ」よりも1ランク大きいクラスであり、日本の生産割合が多く準国産機として話題になった「ボーイング787」よりも1ランク小さいクラスである。
MRJのクラスの旅客機の生産数は年間200機弱、787のように200人以上の乗客の乗る旅客機では年間400機弱である。
リージョナルジェットは地方航空会社が利用する航空機となる。一方、150人乗りクラスの旅客機は、LCCと並び日本では日本航空や全日空が自社便として運行していることも分かるとおり、フラグシップキャリアも利用する機体で、航空会社の主力として扱われる機種である。
であるからこそ、これまで大型機も製造できる2大航空機メーカーが独占してきた。当然、主力機種になるものなので、選定も慎重になり、実績のあるボーイングやエアバスが有利である。これは新規参入者にとってはリージョナルジェットよりも高い参入障壁につながる。
この市場ではMC-21とC919が新規参入したが、737とA320も「737MAX」、「A320neo」というエンジンを最新型に交換するマイナーチェンジが行われ、今後10年の役者が揃った感じである。
MC-21とC919は非常に似ている。もっとも、同じ市場を目指しているので基本的な仕様は既存のボーイングやエアバスの機体とも類似になる。
各々の基本派生を比べると乗客150人から165人の間、航続距離は5500キロから7000キロの間に入っている。乗客から見ると、横6列配置で胴体の真ん中に通路が1本走る客室は4機種共通である。