東京で数千人規模の中国への抗議デモが発生した10月16日、中国でも成都と西安、鄭州および鄭州と同じ河南省の観光都市・洛陽の内陸4都市で反日デモが発生した。17日には成都と同じ四川省の第2の都市・綿陽で、18日には武漢でデモが発生した。
反日デモを報じない中国メディア
これについては劉暁波氏のノーベル平和賞受賞同様、中国メディアはほとんど報じておらず、扱っても小さく報じる程度である。
唯一普通に扱っている中国メディアは新華社のサイト「新華網」の英語版サイト(中国版にはない)で、「Chinese protest against Japan over Diaoyu Islands issue」という記事である。
日本では、デモが暴動に発展しイトーヨーカドーや伊勢丹が襲撃された成都や、日本関係だけでなく中国のアパレルブランドショップや警察の車まで破壊するなどした無差別な破壊活動へと転化した綿陽に注目が特に集まった。
しかし新華網の英語記事では次のように、成都と綿陽の話題に触れることなく、西安と鄭州のみ紹介した。
新華社の英語版でのみ自画自賛的にデモを伝える
「No violence has been reported.」(暴力行為は聞かなかった)
「The protestors sang the Chinese national anthem while marching peacefully. Some set fire on Japanese national flags.」(デモ隊は中国国家を歌い平和的に行進した。ある者は日本国旗を焼いた)
When demonstrators were breaking into a Mizuno sportswear shop, riot police rushed to the site and put the situation under control.」(ミズノの店舗を破壊しようとした参加者を武装警官が止めた)
「Beyond Firewall(意訳すれば“中国のネット検閲の壁を越えて”)」という中国語のブログでは、ブログ主はこれら反日デモを注視したうえで「西洋諸国に中国にはデモができる自由があることをアピールするのが狙いだろう」と分析している。
これは上記の自画自賛の英文ニュースからも同じことがうかがえる。本当は成都や綿陽のデモも世界にアピールしたかったが、暴力行為になるのは予定外だったので「なかったこと」になったのだろう。