日銀短観9月調査が円高による企業マインド悪化を確認する内容になったことを受けて、10月4~5日に開催される次の金融政策決定会合で日銀が資金供給の拡充に動くだろうという見方が、市場の内外で強まっている。日銀短観の発表後、9月29日昼前に時事通信が、「日銀は9月の企業短期経済観測調査(短観)で、景気が想定より下振れる懸念が強まっていることが確認されたとして、来月(10月)4、5日の金融政策決定会合で追加の金融緩和を実施する方向で調整に入る」と報道。夕方にはNHKが「一段の金融緩和本格検討へ」と伝えた。

 では、具体的に、何が実行されるのだろうか。筆者の見解は9月28日作成「白川総裁は追加緩和問題で何を発信したのか」に記した通り、「新型オペのさらなる拡充(例えば1年物導入や6カ月物増額)、ゾーン・種類ごとの割り振りを変更することによる『銀行券ルール』を維持したままでの長期国債買い入れ増額、成長基盤支援のための資金供給の強化や関連する証券化商品の市場育成支援策(資産担保証券買い入れの復活)、既存の金利入札方式オペの積極活用など」である。ここでは、その後に出てきた材料を踏まえつつ、より具体的にコメントしておきたい。

 マスコミ各社は検討が見込まれる追加緩和の具体策について、以下のように報じている。

◆毎日「『新型オペ』の再拡充」「長期国債の買い取り増額」「量的緩和政策を再導入することも検討課題になる可能性」(9月25日 朝刊)

◆日経「固定金利オペの増額や貸出期間の延長」「短期国債の買い増し」(9月27日 朝刊)

◆朝日「(新型オペを)さらに10兆円程度積み増す案が中心になりそうだ」「6カ月に延ばしたが、さらに延ばすこともあり得る」「長期国債の買い入れ増額などが浮上する可能性もある」(9月29日 夕刊)

◆NHK「(新型オペの)供給する量と期間をさらに拡大することなどを軸に検討する方針」(9月29日 18:17)

◆共同「(新型オペを)さらに50兆円程度に上積みする案が検討されるもよう」「3カ月、6カ月の資金に加え、期間1年の資金供給を導入する案も浮上している」「成長基盤融資の枠拡大も検討課題」(9月29日 18:41)

◆ロイター「具体的な緩和策については、日銀内でも多様な意見があるもよう」「新型オペを増額し、3~6カ月物などターム物金利のさらなる引き下げを狙う案は、比較的、副作用の少ない緩和策とみられているようだ」「介入原資となる短期国債の買い入れを増額する案も検討されているようだ」「長期国債買い切りオペの増額は(中略)今回の会合で検討課題にのぼるかは微妙だ」(9月29日 深夜)

◆読売「新型オペの拡充を軸に検討する」「規模を10兆円程度上乗せする案が浮上している」「さらに、政府が発行する短期国債を買い増す案も一部に出ている」(9月30日)

◆産経・フジサンケイビジネスアイ「新型オペレーションの拡充を柱に議論する」「短期国債の買い入れなども協議する」(9月30日)