経営力がまぶしい日本の市町村50選(39)
漁村文化の魅力
富山県氷見市は能登半島東側の根元に位置する、人口4万8257人(2015年5月)の市である。
「天然の生け簀」と呼ばれる日本屈指の漁場である富山湾と、雪解け・湧水などの名水や澄んだ空気によって育まれた肥沃な土壌に恵まれ、新鮮な海の幸と大地の実りを一度に味わえる。
富山市の富岩運河環水公園に次ぐ、県内屈指の来場者数を誇るひみ番屋街では、氷見漁港直送の魚を使った回転寿司や氷見うどんをはじめ、富山湾で取れた新鮮な鮮魚や手の込んだ加工食品まで地元でしか味わえない食を満喫できる。
また海沿いに位置する当施設は、漁師が漁場近くの海岸線に作る作業小屋である「番屋」をイメージし、美しい自然のロケーションと併せた趣ある空間も演出している。
また、ひみ漁業交流館「魚々座(ととざ)」では、漁具や民具が展示され、本物の漁師町の息づかいを感じることができる。
そのほかにも、魚さばき教室や網づくりなどの体験プログラム、漁師や地元の人と氷見弁で交流できる場、漁師の番屋の雰囲気を再現したコーナーなど、漁村文化の魅力を伝える工夫がされている。
体育館をリノベーションした新庁舎
そんな氷見市では、密かに注目されているところがある。
もともと高校の体育館だった建物をリノベーションし、2014年5月にオープンした新庁舎である。
市庁舎の老朽化に伴い、耐震性の不備が指摘されるなか、耐震補強か新築かなど7つの選択肢を巡って合意形成に努めた結果、学校統合で利用されなくなった体育館を再利用する案を選択した。
リノベーションにあたっては、「50年後に市役所に求められる機能は何なのか」といったことを職員でディスカッションしながらデザインを決めていった。