民主党の代表選挙は、これまでに前例のない展開になってきた。新聞・テレビなどの大手メディアと、それ以外のメディア、特にネット上の世論が大きく分かれているのだ。

 9月6日に発表された朝日新聞の世論調査では、菅直人首相支持が65%で小沢一郎前幹事長が17%、同じ日の読売新聞の調査でも菅支持66%、小沢支持18%で、これだけ見ると大勢は決したように見える。

 ところがネット上の形勢は逆だ。例えばヤフー!の「みんなの政治」の投票では、菅氏29%に対して小沢氏が58%(7日現在)。4日に出演したニコニコ動画の投票では、21.5%対78.5%で小沢支持だった。

 もちろんネット投票はサンプルが片寄っているので単純に比較できないが、ライブドアのBLOGOSのようなサイトでも、「想像を超えて雄弁だった小沢一郎の街頭演説」とか「小沢一郎さんの選挙の巧さ。」といった記事が上位に並び、ほぼ小沢支持一色だ。

 ただし民主党の代表を選べるのは民主党員と支持者だけなので、世論がそのまま選挙結果に反映するわけではない。代表選は国会議員・地方議員・党員とサポーターという3種類の投票の合計で行われ、合計1224ポイント。そのうち国会議員が824ポイント、地方議員が100ポイント、党員・サポーターが300点だ。

 国会議員票では小沢氏が50ポイントほど有利と言われるが、地方議員についての調査では逆に菅氏が30ポイントほどリードしており、党員・サポーターの動向が結果を左右する可能性がある。

「政治とカネ」についての関心が薄い若い世代

 新聞とネットで大きく意見が分かれる原因は、「政治とカネ」の問題だろう。大手マスコミは、代表選を伝える時はバランスを取って、必ず小沢氏の政治資金規正法の問題を伝え、強制起訴される可能性があると報じる。一般の読者にとっては、菅氏と小沢氏の政策の違いはよく分からないので、首相が起訴されるという可能性は不名誉なものと思うのだろう。