韓国で7人のMERS感染確認 疑いの男性、警告無視し中国に

6月3日、韓国でのMERS感染者は計30人に(うち2人死亡)。感染症の拡大はアジアの原油需要を減少させるリスクとなる。韓国・仁川国際空港で、ウイルス感染などを検査するために入国者の体温を表示する画面(資料写真)。(c)AFP/BYUN YEONG-WOOK〔AFPBB News

 「原油市場、地政学的混乱に反応薄」──。2015年5月22日付ブルームバーグは、中東の地政学的リスクが近年になく高まっているにもかかわらず原油価格がこれにあまり反応していない状況を報じている。

中東情勢への反応が鈍い原油価格

 5月17日、ISIL(いわゆるイスラム国)がイラクの首都バグダットからわずか130キロメートルしか離れていない主要都市ラマデイを制圧し、衝撃が走った。米軍の空爆等により瀕死と見られていたISILが、国際社会の想像を超えた狡猾な戦略で力を増していることが明らかになったのである(5月24日付の英インデイペンデント紙は「ISILは1年以内に核兵器を手にする可能性がある」との記事を掲載した)。リビアでは5月25日に石油タンカーが爆撃を受けるなど依然内戦状態が続いている。

 サウジアラビアはイエメンに対する空爆を2カ月以上続けているが、国内では5月22日、ISILによる自爆テロが初めて発生し、東部州にあるイスラム教シーア派のモスクでの死傷者は100人を超えた(29日もISILのテロが発生し7人が死傷した)。さらには、「サウジアラビアがイランの核武装化に対抗するため、パキスタンから核兵器を調達する戦略的決定を下した」との爆弾報道(5月21日付英サンデータイムズ)まで飛び出し、米国務省がこの噂を否定する騒ぎとなった。

 こうした状況のなか、中東の地政学的リスクを反映しやすいとされるロンドンの北海ブレント原油先物はWTI先物以上に下落している。