■ 先週の中国株式市場
―香港株 大幅続伸 ファンドの投資規制緩和による資金流入を好感―
<先週の概況>
先週の中国株式市場は続伸しました。ハンセン指数は約7.9%上昇し、2万7,272ポイントとなっています。また、上海総合指数は4.4%上昇となり、4,034ポイントで引け、7年ぶりに4,000ポイントの節目を超えました。先週のハンセン指数は3日間で7.9%高と大幅に上昇し、4週続伸となりました。本土公募ファンドに対する投資規制の緩和などを受け、中国本土からの資金流入が急速に拡大しました。また上海総合指数が連日で高値を更新したことも好感され、一時28,000ポイントに迫る場面もありました。
■ 中国株式市場バリュエーション
■ 業種別リターン
■ 香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
相場の先高観が強まっており、香港証券取引所を運営する香港交易所及決算所は週間で27%高騰し、1銘柄で相場を170ポイント余り押し上げました。また、先週に続き、中国平安保険(集団)(ピンアン・インシュアランス)と中国人寿保険(チャイナ・ライフ・インシュアランス)は揃って週間で10%以上上昇しました。<下落>
先週のハンセン指数構成銘柄のなかで下落した銘柄はありませんでした。■ 先週発表された主な経済指標
4月10日 生産者物価(PPI、前年比) 3月 -4.6% 市場予想 -4.8%、前回 -4.8%
3月の中国生産者物価指数(PPI)の前年比は前月の-4.8%から-4.6%に下げ幅が縮小し、市場予想より小幅に改善しました。ただ、中国PPIは37か月連続でマイナスとなりました。特に原材料の輸入価格が改善した(2月の-9.2%→3月の-8.4%)ほか、採鉱業も回復する兆し(2月の-20.1%→3月の-19.6%)が見られます。4月10日 消費者物価指数(CPI、前年比) 3月 +1.4% 市場予想 +1.3%、前回 +1.4%
3月の消費者物価指数は前年比1.4%増と、市場予想を小幅に上回り、前月から横ばいとなりました。また、内訳の食料と食料を除くCPIも前月から横ばいとなりました。特に野菜(-8.9%)や運送用の燃料と部品(-16.4%)が低下していた一方、豚肉(+3.2%)や家政サービス(+7.6%)が上昇しました。■ 今後発表される主な経済指標
4月13日 中国貿易収支 3月 市場予想 +401.0億ドル、前回 +606.2億ドル
輸出 3月 市場予想 +9%、前回 +48.3%
輸入 3月 市場予想 -10%、前回 -20.5%
4月15日 固定資産投資(前年比) 3月 市場予想 +13.9%、前回 +13.9%
固定資産投資額は、農村部を除いた都市部の建築工事や設備工事費を集計したものです。不動産関連の固定資産投資額の減少傾向が継続する限り、製造業、建設業などの固定資産投資が堅調に推移しても全体の固定資産投資額は伸び悩む可能性が高いと思われます。3月の固定資産投資額は前年比13.9%増と見込まれています。4月15日 鉱工業生産(前年比) 3月 市場予想 +7.0%、前回 +7.0%
3月の中国製造業PMIは前月の49.9から50.1まで上幅に改善したほか、内訳の生産指数も前月の51.4から52.1に回復しました。こうしたなか、3月の鉱工業生産は前年比7.0%と見込まれています。4月15日 国内総生産(前年比) 1Q 市場予想 +7.0%、前回 +7.3%
2014年第4四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比7.0%の増加と見込まれています。特に不動産関連の固定資産投資と鉱工業生産が低迷する中で、世界経済の緩やかな回復による中国輸出の改善と国内消費の伸びはやや限定的で、中国第1四半期のGDPが一段と減速するのは避けられそうにありません。ただ、政府は安定成長するために、積極的な財政政策(財政支出の回復や地方債務の借り換えなど)と金融政策(連月でマネーサプライM2などの増加と2月に預金準備率の引き下げ)に踏み出しており、経済の短期的な支えとなりそうです。こうしたなか、第1四半期の中国GDPは7%増と予想されています。■ マーケットビュー
―ハンセン指数、買い先行か 中国貿易統計やGDPなどに注目―
今週は、先週のハンセン指数が急伸しRSIやボリンジャーバンドなどの指標に短期的な過熱感も出てきたことから、利益確定売りが出やすいといえます。しかし、来週からの四半期決算発表シーズンを控え、好業績銘柄への個別物色が相場の支えとなりそうです。こうしたなか今週は中国の貿易統計や鉱工業生産、国内総生産などの重要な経済指標が相次いで発表されることから、週後半にかけてはこれらの指標を睨みながらの展開となりそうです。
フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)
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