■ 先週の米国株式市場
―良好な雇用統計を受けた利上げ早期化観測などで下落―
<先週の概況>
先週の米国株式市場は下落しました。ダウ平均やS&P500は2週連続での下落となり、ダウ平均は1万8000ドルの節目を割り込みました。発表されたISM景況感指数が製造業・非製造業ともに絶好調とは言えない内容で上値が重かったことに加え、週末に発表された雇用統計が市場予想を大きく上回る良好な内容だったことから利上げの早期化観測が高まったことで株価は大きく下落しました。
■ 米国株式市場バリュエーション
■ 業種別リターン
■ ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
ダウ平均採用の30銘柄中上昇はボーイング(BA)とデュポン(DD)の2銘柄にとどまりました。<下落>
設備投資を減らす計画が明らかとなって今後の収益鈍化が懸念されたエクソン・モービル(XOM)が下落し、シェブロン(CVX)も連れ安となりました。また、ダウ平均採用銘柄の入替えが発表され、アップル(AAPL)と入れ替わりで指数の構成銘柄から外れることとなったAT&T(T)も3%を超える値下がりとなっています。■ 先週発表された主な経済指標
3月2日 ISM製造業景況感指数 2月 52.9 市場予想 53.0 前月 53.5
3月4日 ISM非製造業景況感指数 2月 56.9 市場予想 56.5 前月 56.7
また、4日に発表された非製造業の景況感指数は56.9と前月(56.7)から改善し、市場予想も上回りました。ヘッドラインは堅調ですが指数の詳細を見ると「新規受注」や「業況」は悪化しており、こちらも絶好調とは言えない内容でした。
■ 今後発表される主な経済指標
3月12日 2月 小売売上高(自動車ガソリン除く前月比) 市場予想 +0.3% 前月 +0.2%
12日に2月の全米小売売上高が発表されます。変動の大きい自動車やガソリンを除く売上高は12月が横ばい、1月は+0.2%とやや足元で伸びが鈍化しています。昨年末以来原油が大きく下落し、そのことが個人消費を底上げするとの見方が強まっている米国経済ですが、足元までその効果がはっきりとは出ておらず、2月の内容に引き続き注目が集まります。
■ マーケットビュー
―ダウ平均は100日移動平均にサポートされるか注目―
今後は今週発表される小売売上高など経済指標を睨みながらの展開となりますが、まずはダウ平均の100日移動平均線がある1万7500ドル付近までの調整の可能性があると見ており、そのあたりの水準がサポートとなるか注目しています。
フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕
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