■ 先週の中国株式市場
―香港株続伸 企業再編や輸出の伸び、インドの利下げなどを好感―
<先週の概況>
先週の中国株式市場は上昇しました。ハンセン指数は前週比0.8%近く上昇し、2万4, 109ポイントで引けました。また、上海総合指数も続伸し、3,376ポイントで終了しています。先週のハンセン指数は企業再編や、中国輸出の良好な伸び、インドの予想外の利下げを背景に、昨年11月以来の高値を上回りました。ただ、スイスフランの急変動によるリスク回避で上げ幅を縮小しました。結局ハンセン指数は週間で2万4,000ポイントの節目を維持しました。
■ 中国株式市場バリュエーション
■ 業種別リターン
■ 香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
長江実業(集団)(チョンコン・ホールディングス)と和記黄埔(ハチソン・ワンポア)が事業再編計画を発表したことを受けて、両社とともに10%以上上昇しました。また、中国平安保険(ピンアン・インシュアランス)と中国人寿保険(チャイナ・ライフ・インシュアランス)はそろって買われ、2銘柄でハンセン指数を60ポイント余り押し上げました。<下落>
一方、マカオカジノ運営の銀河娯楽集団(ギャラクシー・エンターテインメント)は4%超の続落となりました。また、華潤置地(チャイナ・リソーシズ・ランド)や騰訊(テンセン・ホールディングス)も軟調に推移しました。■ 先週発表された主な経済指標
1月15日 マネーサプライM2(前年比) 12月 +12.2% 市場予想 +12.5%、前回 +12.3%
12月のマネーサプライM2は前年比12.2%増と、12.5%増の市場予想を下回りました。また、12月の新規人民元建て融資は6973億元と、8800億元の市場予想に届きませんでした。さらに、総資金調達額(中国元)は16900億元増と、前月から大きく増加しました。全体的に見ると、マネーサプライM2の伸び率が低下し続きますが、クレジットの供給は増加する傾向が出てきたようです。■ 今後発表される主な経済指標
1月20日 固定資産投資(前年比) 12月 市場予想 +15.7%、前回 +15.8%
固定資産投資額は、農村部を除いた都市部の建築工事や設備工事費を集計したものです。特に不動産関連の固定資産投資額の減少傾向が継続する限り、製造業、建設業などの固定資産投資が堅調に推移しても全体の固定資産投資額は伸び悩む可能性が高いと思われます。12月の固定資産投資額は前年比15.7%増と見込まれています。1月20日 鉱工業生産(前年比) 12月 市場予想 +7.4%、前回 +7.2%
12月中国製造業PMIは前月の50.3から50.1に低下したなか、内訳の生産指数は前月の52.5から52.2に下落しました。これらの先行指標から12月の鉱工業生産は前年比7.4%増と見込まれています。1月20日 国内総生産(前年比) 4Q 市場予想 +7.2%、前回 +7.3%
2014年第4四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比7.2%の増加と見込まれています。汚職調査の影響で消費が低迷したことに加え、不動産関連の固定資産投資や鉱工業生産も伸び悩んだ格好です。ただ、11月の中央銀行の利下げや国外需要の緩やかな回復による輸出のリバウンドが支えとなりそうです。1月23日 HSBC中国製造業PMI 1月 市場予想 49.5 前月 49.6
1月のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が日本時間23日10時45分頃発表される予定です。12月分のPMI速報値は香港株式市場が下落するきっかけとなっただけに、1月分の発表にも大きな注目が集まります。1月のHSBC中国製造業PMIは49.5が予想されています。■ マーケットビュー
―ハンセン指数、証券関連株の売りで反落か、中国GDP発表に注目―
今週のハンセン指数は軟調な推移が予想されます。16日に中国証券監督管理委員は、中信証券などの大手証券3社の信用取引の新規口座開設を3ヶ月間停止する決定を発表しました。この発表を受けて証券関連株を中心にハンセン指数が売られる可能性がありそうです。また、ハンセン指数は過去4週の累計で約1,000ポイント上昇しており、利益確定売りが出やすい状況といえます。一方、先週IPOのため拘束された資金が今週中に相次いで解放され、豊富な資金が市中に戻ってくるのが相場の支援材料となると思われます。また、25日や200日の移動平均線が約2万3560ポイントで収斂してきて、ハンセン指数の短期的な支えとなりそうです。
なお、今週に中国の鉱工業生産や国内総生産(GDP)、HSBC中国製造業PMIなどが発表され、注目が集まりそうです。また、日本(21日)及び欧州中央銀行(22日)の政策発表にも目が離せません。
フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)
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