先週の米国株式市場
―原油安や小売売上高の下振れで3週続落―


<先週の概況>

先週の米国株式市場はダウ平均が週間で225ドル安となるなど、主要指数は3週続落となりました。未だに原油安に歯止めがかからないことや、14日に発表された小売売上高が市場予想を大きく下回るネガティブサプライズだったことを受け、ダウ平均は9日から15日まで5日続落となりました。金曜日には原油価格の反発や消費者センチメントが11年ぶりの高水準となったことが好感されて、主要指数は反発しました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中11銘柄が上昇しました。ベライゾン(VZ)とAT&T(T)の通信2社が買われました。

<下落>

JPモルガン(JPM)とゴールドマン・サックス(GS)はともに決算発表が物足りない内容となったことを受け大きく売られました。原油安を受けシェブロン(CVX)も下落しています。また、小売売上高が冴えない内容だったことからウォルマート(WMT)も売られました。

先週発表された主な経済指標

小売売上高(前月比) 12月 -0.9% 市場予想 -0.1% 前月 +0.4%(下方修正)
小売売上高(自動車・ガソリン除く)12月 -0.3% 市場予想 +0.5% 前月 +0.6%

14日に発表された12月の小売売上高は前月比0.9%の減少とマイナス0.1%を予測していた市場予想を大幅に下回り、ネガティブサプライズとなりました。ヘッドラインの大幅低下は、原油安に伴うガソリン価格の下落でガソリン関連の売上高が大幅に減少したことが大きいと言えますが、それ意外にも全般的に弱めの数値となっており、ガソリン安が個人消費を活性化させるというシナリオが働いていないとの疑念を持たせる弱い内容でした。単月のブレに留まるのか、来月の発表が注目されます。


今後発表される主な経済指標

1月22日 欧州中央銀行(ECB)理事会

22日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催されます。今月の理事会ではECBが追加金融緩和に踏み切るとの思惑が強まっています。マリオ・ドラギ総裁は以前から再三に渡って、欧州をデフレに陥らせないためにあらゆる政策手段を投じる意向を表明してきました。

ただ、経済が堅調に推移しているドイツなどの反対にあい、国債購入に踏み切れていなかったECBですが、12月のEU地域の消費者物価指数が前年比マイナスに陥ったことから、いよいよ今月の会合で国債購入を決定するのではないかと見られています。15日にスイス国立銀行がスイスフランの対ユーロの上限目標を撤廃したことも、ECBの一段の金融緩和とユーロ安を見越しての措置ではないかと指摘されています。


マーケットビュー
―今週はなんといってもECB理事会に注目―

先週のマーケットビューでは、企業の決算発表に注目と記しました。トムソン・ロイター社の16日時点の集計によれば、S&P500採用企業の第4四半期の利益は、前年同期比3.5%の増益が見込まれており、前週時点の4.0%増益から下方修正されています。まだまだ発表企業が少なく、ブレやすい段階ですが、金融各社を中心に冴えない決算発表が続いており、市場のセンチメントとしてもやや心配なところです。

今週は22日に発表されるECB理事会が最大の注目ポイントです。市場は既に量的金融緩和の拡大、それもソブリンQEの導入発表を織り込んでいるフシがあり、もしも導入が見送られた場合にはネガティブサプライズで株安を招く可能性があります。予想通りソブリンQE導入が発表された場合にもその規模や内容が物足りない場合には同様の反応を見せる可能性がありそうです。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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