ロシアの中西部は今年、異常な程の猛暑に見舞われた。
異常な猛暑に見舞われているロシア中西部
猛暑によって生じた山火事や泥炭の火災によって煙害が生じ、風向きによってはモスクワ市内中心部にまでこの煙が到達し、一酸化炭素など有毒な物質を含むこの煙害を軽減するために、モスクワ市内で顔をマスクで覆いながら外出する姿が報じられた。
冬から春にかけてマスクをかける姿が一般的な日本とは異なり、ロシアではこれまでマスクをするのはほぼ伝染病患者に限られていた。
しかし、今回の煙害でマスクに対する抵抗感は低くなりそうだ(筆者が以前モスクワで勤務していた時、マスク姿で外を歩いている人物を見かけたことは一度もなかった)。
ウラル地域では既に秋が到来?
上記の猛暑はもっぱらモスクワなど中西部の話であるが、筆者が史料収集のために現在滞在しているエカテリンブルク(ヨーロッパとシベリアの境界に位置するウラル地域の中心都市)では、8月中旬でも朝晩は10度以下に下がる。
日中は摂氏20度台まで気温が上がる時があるものの、もはや「涼しい」と言った方が適切であり、日本で言えば秋が到来しているような感じである(猛暑に耐えている日本の読者には申し訳ないが・・・)。
泥炭火災の影響も、郊外では若干あるようだが(空港から市内に向かう途中でピート臭を感じる時もあった)、市内ではほぼないと言える。
日本でロシアの猛暑に関する報道に接していると、あたかもロシア全土が猛暑で煙害に見舞われているような印象を受けるが、その印象はここエカテリンブルクに来て打ち消された次第である。
猛暑は人体ばかりでなく経済にも悪影響
さて、この猛暑であるが、人体ばかりではなくロシア経済にとってもマイナスの影響をもたらしつつあるようだ。
煙害を避けるためにモスクワへの旅行をキャンセルする例がみられたように、観光業などサービス部門に対するマイナスの影響はもちろんある。それ以上にやはり、小麦など穀物の不作に代表される農業への影響が大きい。