先週の米国株式市場
―ギリシャ問題や原油安を受け小幅に下落―


<先週の概況>

先週の米国株式市場でダウ平均は週間で95ドルの下落となりました。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も小幅に下落しています。

ギリシャのユーロ離脱懸念や原油安の継続を受け米国株は週初から大きく下落して始まると、週の半ばには反発する場面も見られましたが、金曜日に再び大きく下落したことで結局週間では小幅な下落となりました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中14銘柄が上昇しました。製薬会社のメルク(MRK)は1月末から行なわれるエボラ出血熱向けワクチンの臨床試験でメルクが共同開発したワクチンが利用されることが明らかとなり、期待が高まりました。同じく製薬のファイザー(PFE)も堅調でした。また、年末商戦が好調に推移したとみられることからウォルマート(WMT)、ホーム・デポ(HD)などの小売各社も堅調な値動きとなりました。

<下落>

JPモルガン(JPM)、ゴールドマン・サックス(GS)の金融2社が冴えませんでした。

先週発表された主な経済指標

非農業部門雇用者数(前月差) 12月 +25.2万人 市場予想 +24万人 前月 +35.3万人(上方修正)
失業率 12月 5.6% 市場予想 5.7% 前月 5.8%

9日に発表された米国雇用統計で非農業部門雇用者数は前月差25.2万人増と市場予想を上回る堅調な増加を見せました。前月は32.1万人→35.3万人に上方修正されています。また、失業率は前月の5.8%から5.6%に0.2ポイント低下し、こちらも市場予想を上回る改善を見せました。前述の両指標は堅調な内容となりましたが、平均時給が前月から低下するなど、労働需給の引き締まりが賃金上昇に結びつききらない現状が明らかとなりました。


今後発表される主な経済指標

1月14日 12月 小売売上高(前月比) 市場予想 +0.1% 前月 +0.7%

14日に12月の小売売上高が発表されます。個人消費動向を表す指標としてGDPの推計にも使われる元々注目度の非常に高い本指標ですが、12月分は年末商戦の結果を示すことから一層注目度が高くなっています。

市場予想では前月比+0.1%の増加が予想されています。


マーケットビュー
―10―12月の企業の決算発表に注目―

先週のマーケットビューでは、大幅悪化となったISM製造業指数を受け、非製造業指数に注目と記しましたが、非製造業指数も前月から3ポイントを超える大幅悪化となりました。製造業・非製造業とも前月から3ポイント以上同時に悪化したのはリーマンショック発生後の2008年10月以来となり、急激な企業景況感悪化が懸念されます。大幅悪化の原因は原油安とともに、米国西海岸での労使交渉の難航によるストライキの影響が指摘されています。

また、今週から企業の決算発表シーズンが幕開けとなります。トムソン・ロイターの9日時点のまとめによればS&P500採用銘柄の10―12月期の1株利益は前年同期比4.0%の増加が見込まれています。原油価格やギリシャ問題に加えて、企業の決算動向が今後のマーケットのポイントとなってきそうです。今週の主要銘柄の決算カレンダーをPDFファイル(P.5)に掲載いたしましたのでご参考ください。

米国主要企業の決算発表スケジュール(PDF)

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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