男女が結婚して何人の子供を産むかは、その家庭の財産や可処分所得とは必ずしも関係がない。一般的に先進国よりも発展途上国のほうが出生率が高い。お金がないから子供が生まれないというのは間違った考えである。
日本の多くの政治家は、家庭に対して子育て支援を行う必要性を唱えている。そのほとんどは資金面での援助の話である。資金面の援助はないよりもあったほうがいいに決まっている。しかし、お金は出生率を上げる決め手ではない。
生まれた子どもに公平な教育機会を提供するためには補助金の増強が必要だろう。だが、教育費の補助で出生率が向上するわけではない。
毛沢東時代の家庭はなぜ子だくさんだったのか
中国では毛沢東時代(1949~1976年)にベビーブームが起きた。なぜ毛時代にベビーブームが起きたのだろうか。
まず、一般家庭は貧しかったが、子どもが生まれやすい雰囲気があった。毛時代の中国では、エンタテインメントはほとんどなく、人々は家に帰るしかなかった。夫と妻の間にはしっかりコミュニケーションをとる時間があった。夫が妻をほったらかしにすることもなく、愛情が冷めることもなかった。どの家庭も子どもを作る時間と雰囲気が整っていた。