■ 先週の中国株式市場
―原油安でエネルギー株が売られるも利下げを背景にハンセン指数反発―
<先週の概況>
先週の中国株式市場は上昇しました。ハンセン指数は前週比約2.4%上昇し、2万3,987ポイントで引けました。また、上海総合指数は週間で196ポイント高の2,682ポイントとなっています。先週のハンセン指数は、中国の利下げの恩恵を受けて、銀行と不動産株を中心に買われました。ただ、週後半に国際原油価格の下落を受けてエネルギー株が売られ、一時回復した心理的な節目の2万4,000ポイントを割り込みました。
■ 中国株式市場バリュエーション
■ 業種別リターン
■ 香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
香港ハンセン指数構成銘柄のうち40銘柄が上昇し、10銘柄が下落しました。中国の利下げに加え、中国で預金保険制度が来年始まるとの観測から、交通銀行(バンク・オブ・コミュニケーションズ)をはじめ、中国銀行(バンクオブチャイナ)や中国工商銀行などの中国本土の銀行が大きく買われました。<下落>
一方、原油安を背景に原油採掘の中国海洋石油(CNOOC)や中国石油天然気(ベトロチャイナ)がそれぞれ3%超売られました。また、騰訊(テンセン・ホールディングス)も小幅ながら下落しました。■ 先週発表された主な経済指標
特に重要な経済指標の発表はありませんでした。■ 今後発表される主な経済指標
12月1日 中国製造業PMI 11月 50.3 市場予想 50.5 前月 50.8
日本時間12月1日10時ごろ発表された11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.3と、前月から0.5ポイント低下し、50.5を見込んでいだ市場予想を下回りました。規模別のPMIを見ると、各規模の企業PMI指数は軒並み前月より下落しました。大企業の製造業PMIは前月より0.3ポイント低下の51.6となりました。中企業の指数も前月と比べて0.7ポイント下落し、48.4となりました。小企業のPMI指数が悪化し続き、前月から0.9ポイント低下の47.6となりました。この結果を見ると、特に中小企業の回復の状況は依然厳しく(好不況の分かれ目である50を下回った)、政府による中小企業向けの刺激策が一段と追加される可能性もありそうです。
指数の内訳を見ると、11月の各構成指数も軒並み前月と比べて低下しました。新規受注は前月の51.6から50.9に下落したほか、生産は前月の53.1から52.5に低下しました。また、新規輸出受注(48.4)と輸入(47.3)も軟調となり、好不況の分かれ目である50を下回りました。
■ マーケットビュー
―冴えない中国製造業PMIを受けて、香港株の上昇が一服か―
しかし、短期的には今週月曜日に発表された中国の製造業PMIが市場予想や前回より小幅ながら下回って悪化したことや、先週大きく上昇しただけに利益確定売りが出てもおかしくないことなどから、相場が調整する可能性がありそうです。こうしたなか200日移動平均がサポートとなるかどうかがポイントで、下げ一巡後に反発するかどうかが注目されます。こうしたなか短期的に売られすぎた銘柄(たとえば、エネルギー株)が値ごろ感で物色されるかもしれません。
フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)
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