マット安川 ゲストに川崎市議・三宅隆介さんを迎え、安倍政権が進める地方創生政策の解説や身近な税金と暮らしの関係など、地方行政について幅広く伺いました。

地方議員は会派の縛りから脱し、自由に発言・行動すべし

三宅 隆介(みやけ・りゅうすけ)氏
昭和1971年生まれ。大東文化大学文学部 卒業。ユアサ商事株式会社を経て、松沢成文(元衆議院議員) 秘書。2003年4月、川崎市議会議員初当選(現在3期目)(撮影:前田せいめい、以下同)

三宅 私の党籍はまだ民主党にありますが、川崎市議会の会派構成では無所属です。地方議会というのは、基本的にはあまり会派の拘束に縛られないで、各議員が自由に賛成・反対、あるいは発言していくことが望ましいと、自分が無所属になってよく分かりました。

 というのは、選挙の時はみなさん個人でいろいろ主張して当選するんですが、当選すると会派に所属して、会派の拘束に縛られる。それで本当は賛成なのに、会派のしがらみで反対したりすることになる。これは有権者の信頼を裏切っている形になるのではないかなと思います。

 いま国家債務が大きな課題になっています。実は国家予算の6割近くは、地方自治体を通じて支出されるんです。税金ベースでいうと、税金の8割にも上ります。だから地方自治体がいかに改革できるか、ムダ遣いをなくすかということが、国家財政再建のカギを握っている。

 ところが、会派主導の議会になっているので、ある種、行政と大きな会派との馴れ合いみたいなところがあって、チェック機能を十分には果たせていない。これは川崎だけではなく、どこの地方議会も同じです。

 なぜかというと、会派というのは行政にとっても都合がいいんです。各会派の親分さえ押さえ込んでしまえば、条例案や議案はスルスルと通る。もし会派がなくなって、一人ひとりの議員がそれぞれの判断で賛成・反対ということになると、行政は一人ひとりの議員を説得して回らなければならない。手間がかかる。

 だから、会派でまとまってくれているほうが楽なんです。会派はあっていいんですが、意見を表明する時、あるいは評決する時には自由に判断することが望ましいのではないかと思っています。

 そもそも、地方議会の情報はマスコミに取り上げられることが少ない。僕は国会議員の秘書をやっていたので分かるんですが、国会議事堂の中にはマスコミの記者が普段からうろうろと歩き回っている。だから国会議員はみなちょっと緊張感がある。

 地方議会はほとんど記者が来ないので、常にマスコミに監視されているという緊張感が薄い面はあると思います。