先週の米国株式市場
―経済指標の上振れなどを好感しダウ平均は史上最高値更新―


<先週の概況>

先週の米国株式市場は、週初は中間選挙の結果待ちだったことから上値の重い展開となりましたが、週の半ばからは雇用統計の先行指標であるADP雇用統計が市場予想を上回ったことや、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が追加金融緩和について前向きな姿勢を示したことなどが好感され上昇しました。

ダウ平均は史上最高値を更新して、初めて1万7500ドルの節目を突破しました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中21銘柄が上昇しました。前週に引き続き値がさ株のビザ(V)が大きく上昇したことでダウ平均全体をけん引しました。

<下落>

ウォルト・ディズニー(DIS)が発表した7―9月期の決算は増収増益と良好だったものの、材料出尽くし感から発表後に売られた格好となりました。また、原油安の流れは変わらず、シェブロン(CVX)やエクソン・モービル(XOM)も小幅に下落しました。

先週発表された主な経済指標

非農業部門雇用者数 10月 +21.4万人 市場予想 +23.5万人 前月 +25.6万人
失業率 10月 5.8% 市場予想 5.9% 前月 5.9%

7日に発表された10月の雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月差21.4万人増と9ヶ月連続で20万人増を上回る堅調な内容となりましたが、市場予想は下回りました。ただし、9月分が+24.8万→+25.6万、8月分が18.0万→20.3万と計3.1万人上方修正されました。

一方、失業率は0.1%低下した5.8%と2008年7月以来約6年ぶりの低水準となりました。労働市場の改善は継続していると見て良いでしょう。


今後発表される主な経済指標

11月14日 10月 小売売上高(前月比) 市場予想 +0.2% 前月 -0.3%

14日に10月の小売売上高が発表されます。9月分は市場予想以上に前月からの売上高が減少したことから、米国の個人消費への懸念材料となり、株価が一時大きく下げるきっかけとなりました。

先に発表された新車販売台数や消費者センチメントなど、個人消費関連指標は堅調に推移しているため10月分は前月からの増加が予想されています。


マーケットビュー
―ファンダメンタルズは依然堅調 株価は上昇基調を維持か―

先週のマーケットビューでは、堅調な企業業績を背景に株価の上昇が期待できる局面と書きましたが、幸いにも米国株は上昇し、ダウ平均やS&P500は史上最高値を更新しました。ダウ平均が取引時間中に一時1万6000ドルを割りこむなど、市場が半ばパニックとなった10月中旬の総悲観ムードが嘘のように、株価は勢い良く上昇して高値を更新した格好となりました。

7日に発表された雇用統計では非農業部門雇用者数のヘッドラインこそ市場予想を下回ったものの、8月分・9月分は上方修正されており9ヶ月連続で前月差20万人以上の増加を達成するなど、労働市場の改善は引き続き堅調に続いています。

ほぼ出揃ってきた米国企業の決算発表では、ロイター社の集計によればS&P500採用企業は9.8%増益を確保する見込みとなっています。引き続き米国経済のファンダメンタルズは堅調に推移しており、株価は中長期的に上昇基調を維持すると見て良いと考えています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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