本記事は10月14日付フィスコ企業調査レポート(フルスピード)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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注力事業のアドネットワーク事業が前期に引き続き拡大

 フルスピード<2159>は、リスティング広告・検索エンジン最適化サービス(SEO)等のインターネット広告代理店事業と、アフィリエイト・サービスやディスプレイ型アドネットワーク(DSP)等のアドネットワーク事業を両輪として事業展開している。

 9月12日付で発表された2015年4月期の第1四半期(5-7月)の連結業績は、売上高が前年同期比1.8%増の2,950百万円、最終利益である四半期利益が同54.2%増の75百万円と増収増益となった。セグメント別には注力事業であるアドネットワーク事業が前期に引き続き拡大した一方で、インターネット広告代理事業が減収減益となったことで、営業減益となったものの売上高、利益ともにほぼ会社計画どおりの進捗となった。

 アドネットワーク事業では現在、売上の大半を占めるアフィリエイト・サービス・プロバイダー事業が好調だったほか、注力分野であるDSPや3PASなど「AdMatrix®」シリーズについても、前期にシリーズが出揃ったことで9月に「ad:tech Tokyo 2014」へ出展するなど着々と本格展開へ向けた準備を進めている。

 第2四半期以降はSEOの戦略転換効果が顕在化し、インターネット広告代理事業が底打ちするほか、アドネットワーク事業の続伸により、業績は上向きに転じる会社見通しであるとしており、通期業績では売上高が前期比10.6%増の12,500百万円、営業利益が同24.3%増の750百万円と2ケタ増収増益となる見通しを変えていない。

 中期経営計画の最終年度となる2016年4月期には売上高14,000百万円、営業利益1,000百万円の達成を目指す。先行投資してきた「AdMatrix®」シリーズが収穫期に入り、業績のけん引役になるものとみられる。また、海外展開では中国に加えて、東南アジアへの進出を睨んでおり、今後の展開が注目される。

 なお、同社は2014年9月に第三者割当(大和証券向け)による新株予約権を発行している。「AdMatrix®」シリーズの更なる機能強化や販売強化、新規事業の開発、M&Aや海外展開などに向けた必要資金の調達が目的となっている。当初行使価格(880円)で行使されれば、約21億円の調達が可能となる。

Check Point

●アドネットワーク事業は売上高・利益でいずれも過去最高を更新
●2015年4月期後半から成長拡大フェーズへ移行する計画
●ネットキャッシュはほぼゼロベースと安定した水準を維持

事業概要

インターネット広告代理店事業とアドネットワーク事業が両輪

 フルスピードは、リスティング広告・検索エンジン最適化サービス(SEO)等のインターネット広告代理店事業と、自社開発するアフィリエイト・サービスやディスプレイ型アドネットワーク(DSP)等のアドネットワーク事業を両輪として事業展開している。連結子会社に、アフィリエイト・サービス・プロバイダー(以下、ASP事業)を行う(株)フォーイット、情報メディア事業を行う(株)ファンサイド、中国・上海でインターネット広告代理店事業を行う上海賦絡思广告有限公司の3社がある(出資比率はいずれも100%)。