本記事は10月1日付フィスコ企業調査レポート(情報技術開発)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
柴田 郁夫
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2015年3月期は好発進、ソリューション分野強化で 更なる飛躍へ

 情報技術開発<9638>は、中堅規模の独立系ソフト開発会社である。主力のソフトウェア開発及び情報処理サービスを軸として、組込ソフトウェアやデータセンターのほか、様々なソリューションも手掛けている。ワンストップソリューションと幅広い業種を対象としたエンドユーザーとの直接取引に特徴があり、安定的な顧客基盤や情報処理サービスを収益源とするバランスの良い事業ポートフォリオ、積極的な社員教育による人材力にも強みを有する。製造業を中心とした情報設備投資の回復やモバイル及びクラウドサービスなどの新たなIT市場の広がりを背景として、業績は順調に拡大している。

 2014年3月期決算は、売上高が前期比12.5%増の20,607百万円、営業利益は同40.9%増の1,068百万円と増収増益になった。既存顧客からの受注拡大や大型案件の獲得が増収に寄与するとともに、不採算プロジェクトの抑制により利益率の改善が図られた。

 2015年3月期の業績予想について、同社は売上高を前期比4.3%増の21,500百万円、営業利益を同7.7%増の1,150百万円と見込んでいる。今年6月にオープンしたデータセンター2号棟の業績寄与を含め、好調な受注環境などから判断すると保守的な水準と見られる。なお、2015年3月期の第1四半期は、売上高が前年同期比22.3%増の5,379百万円、営業利益が同39.8%増の237百万円と順調な滑り出しとなった。今後の進捗次第では会社計画からの業績上振れにも注目する必要があろう。

 同社は、2015年3月期を将来への飛躍を目指す年と位置付けているが、収益力の強化とニュービジネスへの対応を軸に事業拡大を図る戦略を描いている。特にデジタル広告や在宅介護・医療システム、セキュリティ・顔認証システム、IT資産管理、工場ラインの自動検査など、需要拡大の見込めるソリューション分野の強化が同社の成長をけん引する計画となっている。また、強固な財務基盤や潤沢なキャッシュフローを活かしたM&Aにも積極的に取り組む方針である。

Check Point

●直接取引を中心とした安定的な顧客基盤を構築
●2015年3月期業績は増収増益予想だが保守的な水準か
●多彩な業務スキルを活かしてソリューション分野を強化

事業概要

独立系ソフト開発会社、顧客は幅広い業種に分布

 同社は、中堅規模の独立系ソフト開発会社である。主力のソフトウェア開発及び情報処理サービスを軸として、組込ソフトウェアやデータセンターのほか、様々なソリューションも手掛けている。ワンストップソリューションと幅広い業種を対象とした直接取引に特徴がある。

 事業セグメントは、「ソフトウェア開発」「情報処理サービス」「エンベデット・ユビキタス/半導体関連」の3つに区分される。売上高ではソフトウェア開発が56.5%を占める一方、営業利益(調整前)では情報処理サービスが69.2%を稼ぎ出している(2014年3月期実績)。