本記事は9月30日付フィスコ企業調査レポート(フジコー)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
柴田 郁夫
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森林資源を活用したバイオマス発電事業に着手

 フジコー<2405>は、建設工事現場で発生する木屑やがれき等の産業廃棄物を中心とした各種廃棄物の中間処理(破砕、焼却等)を主力に、白蟻防除及び老朽家屋等の解体工事も手掛ける。また、建設系廃棄物を原料としたバイオマス発電にも注力している。許可品目の多さや多様な廃棄物の取扱い、最新鋭の処理施設と技術の導入などに強みを有する。「住まいと環境を守る」を経営理念に掲げ、害虫駆除から各種廃棄物のリサイクル事業、さらには自然エネルギーへの展開など、創業以来、社会的貢献度の高い事業を手掛けてきた。今後は、これまでの技術やノウハウを活かして、森林資源を活用したバイオマス発電事業にも参入し、電力小売事業とともに同社の成長を加速させる計画である。

 連結移行した2014年6月期の業績は、売上高が2,534百万円(前期単体比13.8%増)、営業利益が355百万円(同27.7%増)と、旺盛な処理需要や各施設の順調な稼働により、過去最高の売上高、利益を更新した。

 2015年6月期の業績予想として同社は、売上高を前期比4.4%減の2,422百万円、営業利益を同1.4%増の360百万円と減収ながら増益を見込んでいる。減収予想となったのは、各施設がフル稼働に近い状況にあることに加え、外部委託費も高騰していることから、受入数量制限の可能性とその影響を保守的に見ていることによる。したがって、スムーズな受入による数量確保が可能となれば、業績の上振れ要因となる可能性はあろう。

 同社は今年1月、電力代理購入サービスを手掛けるエナリス<6079>との合弁により、岩手県にバイオマス発電会社を設立し、森林資源を活用したバイオマス発電事業に着手した。営業開始は2016年2月頃の予定であり、本格的な業績貢献はまだ数年先になる。ただ、自然エネルギーによるCO2削減や循環型経済社会の構築に向けた貢献はもちろん、地域で発生する木材を燃料として地元で発電を行い、地元に電力を供給することによる地産地消と雇用創出を実現する先駆的な事業モデルとして、その進捗に注目したい。

Check Point

●2007年のバイオマス発電施設新設が大きな転機に
●2015年6月期は減収ながら損益改善で増益見込み
●バイオマス発電事業の拡大と電力小売事業への参入が成長戦略

事業概要

廃棄物の中間処理を主力に白蟻防除や家屋の解体工事も展開

 同社は、建設工事現場で発生する木屑やがれき等の産業廃棄物など、各種廃棄物の中間処理(破砕、焼却等)を主力として、白蟻防除及び老朽家屋等の解体工事も手掛ける。建設系廃棄物を原料としたバイオマス発電にも注力している。事業セグメントは、建設系リサイクル事業(建設系廃棄物を燃料としたバイオマス発電を含む)、食品系リサイクル事業、白蟻解体工事のほか、今期から追加された森林発電事業の4つに区分されている。主力の建設系リサイクル事業が、バイオマス発電による業績貢献も手伝って、売上高の約82%、売上総利益の約93%を稼ぎ出している。なお、バイオマス発電は売上高の約17%、売上総利益の約34%を占めている。

バイオマス発電とは、動植物由来の有機性資源(石油などの化石資源を除く)を原料とした発電のことであり、CO2削減や循環型経済社会の構築に対する社会的要請が強くなるなかで、再生可能な自然エネルギーとして脚光を浴びている。