先週の米国株式市場
―FOMCの開催など控えダウ平均は6週ぶりに反落―


<先週の概況>

先週の米国株式市場は小幅に下落し、ダウ平均やS&P500はともに心理的な節目となる水準を割り込みました。オバマ政権がイスラム国への空爆拡大を決定したことや、スコットランドの英国から独立する可能性がやや高まったことなどが市場の不透明感を増大させたようです。

また、翌週にFOMC(連邦公開市場委員会)の開催を控えていることも、様子見姿勢につながりました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中上昇は8銘柄にとどまりました。ゴールドマン・サックス(GS)やJPモルガン(JPM)など金融株が比較的堅調だったほか、スウェーデンのゲーム会社と買収交渉を進めていると報じられたマイクロソフト(MSFT)は1.7%の上昇としっかりでした。

<下落>

先週に引き続き原油価格の下落を受け、シェブロン(CVX)やエクソン・モービル(XOM)といったエネルギー関連株の下落が目立ちました。顧客情報の流出を正式に認めたホーム・デポ(HD)は3%値下がりしました。

先週発表された主な経済指標

小売売上高(前月比) 8月 +0.6% 市場予想 +0.6% 前月 +0.3%(上方修正)
自動車・ガゾリン除く 8月 +0.5% 市場予想 +0.5% 前月 +0.3%(上方修正)

12日に発表された8月分の小売売上高はヘッドラインが前月比+0.6%、変動の大きい自動車・ガソリンを除く指数が+0.5%といずれも市場予想と一致しました。さらに、7月分についてはヘッドラインが±0%→+0.3%、自動車・ガソリン除く指数が+0.1%→+0.3%とどちらも上方修正されました。

8月分の高い伸びに加えて7月分が上方修正されたことで、米国経済の根幹をなす個人消費が堅調に推移していることが明らかとなりました。小売売上高はGDPの算出にも用いられており、7―9月期も個人消費は高い伸びが期待できそうです。


今後発表される主な経済指標

9月16日・17日
FOMC(連邦公開市場委員会)結果発表

今週のマーケットの最大の注目は16日と17日に行われるFOMC(連邦公開市場委員会)です。現在まで行われている量的金融緩和第3弾(QE3)の長期国債やモーゲージ債の買い入れの終了を決定することはほぼ確定的です。

また、それに加えて労働市場や米国経済全体が堅調に推移していることから、金融政策に対する現在のメッセージである「量的緩終了後も相当な期間ゼロ金利を維持する」という文言が修正または削除される可能性が指摘されており、もし実現した場合には利上げの早期化観測が広がる可能性があります。

マーケットビュー
―FOMCの発表内容に注目 円高への巻き戻しに注意―

先週のマーケットビューではバリュエーション面からみて急速な上昇は期待しづらい一方で株式市場は緩やかな上昇基調を維持する見込みと書きましたが、株式市場は小幅に調整し、ダウ平均は1万7000ドル、S&P500は2,000ポイントのともに節目となる水準を割り込みました。ただ、発表された経済指標は引き続き堅調なため、米国株式市場は長期的な上昇トレンドは維持するというビューは変わっていません。

経済指標欄にも記したとおり、今週はFOMCの開催が最大のポイントとなります。マーケットが現状意識している最初の利上げ時期は来年の夏頃ですが、FOMC後の発表内容によってはそれが早まる可能性があります。ただ、このところの長期金利の上昇やドル買いは発表内容を織り込んでいると考えられ、またドルの上昇ペースはかなり急なことから、一時的なドル売りへの巻き戻しには注意が必要です。その場合、足元で107円台まで円安が進んでいるドル円が円高方向に推移すると考えられるため、日本株へのマイナス要因となりそうです。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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