先週の米国株式市場
―期待に届かぬ雇用統計も株価は小幅に上昇―


<先週の概況>

先週の米国株式市場は主要3指数とも小幅に上昇し、それぞれ5週連続での値上がりとなりました。S&P500は史上最高値を更新しました。

ISM景況感指数や新車販売台数などの指標はそれぞれ数年ぶりの高水準となりましたが、マーケットの反応は限定的でした。金曜日に発表された雇用統計で非農業部門雇用者数は市場予想を大きく下回りましたが、ウクライナとロシアの停戦報道などもあって株価は上昇しました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中21銘柄が上昇しました。ナイキ(NKE)、ウォルマート(WMT)、ディズニー(DIS)など個人消費関連銘柄の堅調さが目立ちました。

<下落>

原油価格の下落を受け、シェブロン(CVX)やエクソン・モービル(XOM)といったエネルギー関連株の下落が目立ちました。ホーム・デポ(HD)はサイバー攻撃を受けたことにより顧客情報の流出が起きた可能性があると発表し、下落しました。複数の会社から投資判断や目標株価が引き下げられたボーイング(BA)は2%弱下落しました。

先週発表された主な経済指標

非農業部門雇用者数 8月 +14.2万人 市場予想 +23.0万人 前月 +21.2万人(上方修正)
失業率8月 6.1% 市場予想 6.1% 前月 6.2%

5日に発表された雇用統計の非農業部門雇用者数は前月差14.2万人の増加と市場予想を大きく下回り、前月からの増加幅も減少しました。失業率は6.1%と前月から0.1%改善し、市場予想と一致しました。

事前に発表された他の労働関連指標は強い内容が目立っていたため、非農業部門雇用者数が堅調な回復の目安とされる20万人に届かなかったことは意外な結果でした。労働参加率も0.1%低下して62.8%となり、冴えないこれらの指標を受け、市場では利上げ早期化観測が後退したとの声も聞かれました。


今後発表される主な経済指標

9月12日
8月小売売上高(前月比) 市場予想 +0.6% 前月 ±0.0%
8月小売売上高(自動車・ガゾリン除く前月比) 市場予想 +0.4% 前月 +0.1%

重要指標の発表ラッシュだった前週に比べると発表は一服となりますが、12日には小売売上高が発表されます。米国のGDPの7割を占める個人消費の先行指標として注目度の高い経済指標です。

前月は予想を下回る低調な伸びに終わりましたが、先に発表された新車販売台数が高水準だったことから、8月は高い伸びが期待されています。


マーケットビュー
―好悪まちまちだった雇用統計も実体経済は依然好調―

先週のマーケットビューでは数多く発表される重要指標の発表に注意、雇用統計で良好な結果が出れば利上げ早期化観測につながる可能性がある、と書きました。結果は経済指標欄にも書いたとおり、雇用統計は冴えない結果で利上げ早期化観測が進むことはありませんでした。ただ、確かに非農業部門雇用者数や労働参加率は低調な結果だった一方で、イエレンFRB議長が重視していると言われる「失業者に占める長期失業者の割合」や仕方なくパートタイマーとして働いている人を広義の失業者と捉える「U-6失業率」はともに改善するなど、悪い内容ばかりではありません。上記の内容を勘案すると、今回の雇用統計では労働市場についての明確な方向感は乏しかったと考えられます。

雇用統計以外のISM景況感指数や新車販売台数などの重要指標は数年ぶりの高水準を記録していることから米国経済は全般的に堅調と言える状況にあります。バリュエーション面からみて、急速な上昇は期待しにくいと思われますが、堅調な経済を背景にじりじりと緩やかながら株価は上昇傾向を維持すると考えています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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