先週の米国株式市場
―ウクライナ問題好転などからダウ平均は17,000ドル回復―


<先週の概況>

先週の米国株式市場でダウ平均は週間で2%超上昇して17,000ドルの節目を回復しました。また、S&P500は21日に史上最高値を更新しました。

ウクライナ問題の好転や、発表された住宅関連の経済指標が市場予想を上回ったことなどが好感されました。金曜日に行われたイエレンFRB議長の講演では特段の目新しい内容は発表されず、マーケットは大きなイベントを無難に通過する格好となりました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均を構成する30銘柄中27銘柄が上昇しました。米国のホームセンター最大手のホームデポ(HD)は、5―7月期の決算が市場予想を上回る増収増益だったことから週間で9%近い上昇と大きく買われました。現在はダウ平均採用銘柄ではありませんが、次の銘柄入替えの際の採用も噂されるアップル(AAPL)は6月に実施した株式分割(7分割)後初めて100ドルの節目を突破し、過去最高値を更新しました。

<下落>

AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の通信2社は下落しましたが、下落率はいずれも1%未満と小幅にとどまりました。

先週発表された主な経済指標

NAHB住宅市場指数 8月 55 市場予想 53 前月 53
中古住宅販売件数(年率換算) 7月 515万件 市場予想 502万件 前月 504万件(上方修正)

18日に発表されたNAHB住宅市場指数は市場予想(53)を上回る55と、景況感の改善と悪化の節目となる50を上回り、今年の1月以来7ヶ月ぶりの高水準を記録しました(グラフ参照)。

また、21日に発表された中古住宅販売件数(年率換算)は市場予想を上回る515万件となり、4ヶ月連続で販売件数が増加しました。

年初から低迷が続き、回復が遅れていた住宅市場ですが、ようやく底入れ傾向が明確になってきた格好です。


今後発表される主な経済指標

8月26日 カンファレンスボード消費者信頼感指数 市場予想 88.8 前月 90.9

26日に個人消費の先行指標として注目されるカンファレンスボード消費者信頼感指数が発表されます。

先に発表された同じく個人消費の先行指標であるミシガン大学消費者信頼感指数は9ヶ月ぶりの低水準となっており、調査対象人数が多くより信頼性が高いとされるカンファレンスボードも同様に落ち込むのか注目を集めそうです。


マーケットビュー
―17,000ドル回復で上昇ペースはやや落ち着く展開か―

先週のマーケットビューではイエレンFRB議長の講演とウクライナ問題の膠着から上値の重い展開が見込まれるも、米国経済の良好なファンダメンタルズから調整時には押し目を拾えるのではと書きました。結果的には先週前半にロシアのプーチン大統領と欧州各国の首脳による会談が行われると報じられ、ウクライナ問題が好転するとの期待が高まったことから株が買われ、ダウ平均は17,000ドルの節目を回復、S&P500は史上最高値を更新しました。市場の注目が集まっていたイエレンFRB議長の講演は目新しい内容は発表されませんでした。

筆者は7月末から8月月初にかけての米国株式市場の急落の際に、良好な経済指標と良好な企業決算を背景として、積極的に押し目を拾える局面ではないかと記してきました。概ね予測したような展開となりましたが、ダウ平均が17,000ドルを回復したここからは、高値警戒感が浮上してくることになるでしょう。もちろん史上最高値の更新も視野に入っているものの、株価の上昇ペースはやや落ち着くのではないかと見ています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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