武漢は、重慶、南昌、南京とともに「中国四大火鍋」と呼ばれ、夏の暑さで有名だ。7月下旬、1年ぶりに猛暑の武漢を訪問した。武漢が暑いのは気温だけではない。経済も熱気があふれている。

武漢名物、建設工事と大渋滞

 数年前に初めて武漢を訪問した時は空港から市内への高速道路建設、広州・上海・北京各市と武漢を結ぶ高速鉄道建設、武漢の市街地を真ん中で2つに分断する長江の両岸をつなぐ水底トンネル工事といった基幹インフラの建設で市内は大渋滞だった。

 それらのインフラ建設は昨年までに概ね完成した。当時空港から市内のホテルまでタクシーで1時間半近くかかっていたのが40分程度にまで短縮された。また、2009年末の高速鉄道の開通により広州と武漢は片道4時間で快適に行けるようになり、往来は格段に増加した。

 その効果で広州に集積していた自動車関連企業が続々と武漢に進出し、武漢の自動車産業集積地としての地位は揺るぎのないものとなった。基幹交通インフラが生み出す経済効果は絶大だ。

 武漢は今も渋滞がひどい。現在武漢で建設中のインフラは、北東部のビジネス中心街である漢口と南部の産業開発区兼住宅地である漢陽とをつなぐ高速道路および市内の地下鉄である。

高速道路の工事現場で大渋滞に巻き込まれる(筆者撮影、以下同)

 そうしたインフラ建設と並行して、旧市街のバラック地区の再開発を進め、市内のいたるところで高層マンションを建設している。

 今回の武漢滞在中に漢口から漢陽の経済開発区を見学に行こうとしたが、途中で高速道路の建設工事などの影響による大渋滞につかまり、次の面談の時間に間に合わなくなりそうだったため、見学を諦めざるを得なかった。

 これも「熱い」武漢ならではの出来事である。目的地の経済開発区には辿りつくことができなかったが、大渋滞の前後に通り過ぎた数多くの工事現場の風景を見るだけで、武漢の経済発展の熱気を十分肌で感じることができた。