本記事は7月16日付フィスコ企業調査レポート(ソフト99コーポレーション)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲
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未来の柱となる製品を育成し更なる収益成長へ
ソフト99コーポレーション<4464>は、カーワックスや洗浄剤、補修材などのカー用品の大手。鈑金塗装などサービス事業へと展開。ポーラスマテリアル事業はハイテク業界向け精密洗浄・吸収・研磨剤で高シェアを持つ。
2014年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.7%減、営業利益が同4.7%減となった。カー用品を中心とするファインケミカル事業は堅調に推移したものの、サービス事業と不動産関連事業における利益減が足かせ要因となった。
2015年3月期から始まる新中期3カ年計画では、最終年度となる2017年3月期に売上高24,000百万円(2014年3月期比11.1%増)、営業利益2,400百万円(同28.9%増)を目指す。主力であるファインケミカル事業では、長期にわたって収益の柱となり得る未来の定番製品の開発・育成に注力するほか、業務用製品の拡大や、海外事業の強化による海外売上比率の引き上げに取り組んでいく。また、ポーラスマテリアル事業は新規市場の開拓や新規用途の開発を進めることで成長軌道に乗せていく考えだ。M&Aについてもグループ内シナジーが見込まれる案件や、新たな柱となる事業に関しては、引き続き前向きに検討している。
2015年3月期の業績見通しは、売上高が前期比1.9%増、営業利益が同3.3%減と利益面で伸び悩む格好だが、売上拡大のための営業、開発体制強化など費用負担が先行するのが主因。投資有価証券や長期預金も含めたネットキャッシュは2014年3月末で約17,500百万円と、現在の株式時価総額(2014年6月6日時点で14,474百万円)を上回る水準であり、PBR(1株当たり純資産)も0.35倍の水準と評価不足が顕著となっている。
Check Point
●実質無借金経営は継続、引き続き財務体質は極めて良好
●コンシューマ向けカー用品で未来の柱となる新製品を相次いで投入へ
●15/3期は普通配当ベースで5期連続増配を目指す
事業概要
ファインケミカル事業が収益柱、その他の事業も安定収益
(1)事業内容
同社は1954年(昭和29年)創業の自動車用、家庭用ケミカル用品の製造販売会社である。事業セグメントとしてはファインケミカル事業、ポーラスマテリアル事業、サービス事業、不動産関連事業の4つのセグメントで区分している。各セグメントの主な事業内容と関連子会社は表のとおりとなっている。
直近5期間の事業別構成比はグラフの通りで、売上高、セグメント利益ともにファインケミカル事業が同社の収益柱となっており、その他の事業に関しても期によって多少の変動はあるものの、総じて安定した収益を上げており、バランスのとれた事業ポートフォリオになっていることが特徴だ。以下、各事業の概要について簡単に紹介する。