先週の米国株式市場
―地政学リスク後退で反発―


<先週の概況>

先週の米国株式市場は小幅に反発しました。ダウ平均は地政学リスクの高まりや利上げ早期化観測から先々週に500ドル近く値下がりし、先週に入っても一進一退の推移が続いていましたが、週末にかけてウクライナとロシアの緊張緩和観測が高まったことなどから反発しました。

ダウ平均は前2回の調整時と同様、200日移動平均線がサポートして反発した格好となっています。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

先週ダウ平均採用銘柄は19 銘柄が上昇、11 銘柄が下落しました。ウォルト・ディズニー(DIS)は5 日に発表した4―6 月期決算は増収増益で1 株あたり利益が市場予想を上回ったことが好感され、週間ベースで1.7%の上昇となりました。

<下落>

インテル(INTC)が3%強の下落でダウ平均採用銘柄の中で値下がり率トップとなりました。特段の悪材料が出たわけではありませんが、インテルの株価は年初から3 割ほど値上がりしており、地政学リスクの高まりによっていったん利益確定売りが出やすい水準にあったと考えられます。

先週発表された主な経済指標

ISM 非製造業景況感指数 7 月 58.7 市場予想 56.5 前月 56.0

5日に発表されたISM 非製造業景況感指数は、ヘッドラインが58.7と2005年12月以来約8年半ぶりの高水準で、市場予想を大きく上回りました。

指数の内訳をみてみると、ヘッドラインを構成する「新規受注(61.2→64.9)」・「入荷遅延(51.0→51.5)」・「雇用(54.4→56.0)」・「業況(57.5→62.4)」の4 項目のすべてが前月から改善する好内容でした。

先に発表された製造業指数と同様に市場予想を上回る高水準で、米国の景況感が好調に推移していることが改めてはっきりした格好となりました。


今後発表される主な経済指標

8月13日 小売売上高 (前月比) 市場予想 +0.2% 前月 +0.2%

13 日には小売売上高が発表されます。本レポートでも何度か記しているように、米国のGDP(国内総生産)の7 割は個人消費が占めており、その個人消費の先行きを示唆する指標として重要視されています。

先に発表された同じく個人消費の先行きを示す新車販売台数は堅調な内容だったため、小売売上高も堅調な内容が期待されます。

小売売上高は変動の大きい自動車やガソリンを除いた指数も重要視されています。


マーケットビュー
―ファンダメンタルズ面から見て引き続き押し目を拾える局面―

先週のマーケットビューでは、米国経済・企業業績とも良好な状態の中での急落だからこそ、押し目を拾って良い局面ではないかと記しました。ダウ平均は200日移動平均線にサポートされる格好で切り返し、週間ベースで小幅に反発しました。

経済指標欄でも記したように5日に発表されたISM非製造業指数が約8年半振りの高水準となるなど、引き続き米国経済の堅調さを示す指標が発表されています。また、トムソン・ロイターの8月8日時点の集計によればS&P500採用銘柄の4―6月期決算は、全体の9割に当たる450社が決算発表を終了し、前年同期比8.2%の増益と前週時点の7.7%増益から増益率が上方修正されました。

地政学リスクの問題が根本にあるので、突発的なリスクの登場などから株価が乱高下する場面も出てくる可能性がありますが、引き続きファンダメンタルズ面からみて着実に押し目を拾っていける局面ではないかと考えています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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