印象派作品の宝庫として有名なパリのオルセー美術館が改装工事中ということで、所蔵品が出張しての特別展が世界各地で話題を呼んでいるが、お膝元のフランスもまたしかり。
印象派のための町、ルーアン
特に、印象派を代表する画家たちが多くの足跡を残したノルマンディー地方では、大小様々な美術館が企画展を開催中。
とりわけ、この地方の中心都市、ルーアンの美術館で行われている「印象派のための町──ルーアンでのモネ、ピサロ、ゴーギャン──」展が人気を集めている。
ルーアンへは、パリのサン・ラザール駅から電車で1時間半ほど。蛇行するセーヌ河を何度も渡りながら、ひたすら西へと向かう旅である。
ルーアン・リヴ・ドワット(ルーアン右岸)駅に着いたら、そこからはほぼ徒歩で名所巡りができるというほどの町のサイズ。
目指す美術館へは、駅からセーヌ河へ真っ直ぐに下る目抜き通りを行き、左手に見えてくる大きな緑の公園を突き抜ければ着くという簡単な地理。5分ほどの距離だ。
クラシックな建物の足元にある特設のチケット売り場で入場券を買うのだが、ここでちょっと驚いた。というのも、オーディオガイドの中に日本語もあるではないか。
「ルーアンのボワルデュー橋とサンセヴェール界隈」
Camille PISSARRO
Le Pont Boieldieu et le faubourg Saint-Sever à Rouen, 1896
Huile sur toile
Pittsburgh, The Carnegie Gallery
© 2009 Carnegie Museum of Art, Pittsburgh
フランス語、英語、ドイツ語、イタリア語、それらに次ぐ5つ目の言語として日本語があったのである。
10カ国語くらいの中に日本語が入っていることは珍しくはないが、海外からの旅行者の国別の割合に大きな変化が見られつつある昨今、5カ国語めが日本語というのは、日本人としてはなにやら嬉しいような気持ちが湧いてくる。
もっとも、ここではテーマが印象派。米国人と日本人の印象派好きはかねて有名だから、その背景があってのことには違いない。
しかし、私はそのオーディオガイドは借りず、まずは一人丸腰で比較的空いている午前中の展覧会を体感し、そのあとで1時間ほどのガイド解説付き見学というのに参加することにした。