前回の「実は環境にやさしくない古紙の利用」では、世界一の紙生産国である中国は、原料となる古紙だけでなく、古紙のもととなる化学パルプもまた、その多くを輸入に頼っていることを述べた。
一方、先進国では板紙(主に紙器や包装に使用される厚手の紙)以外の消費量は減少している。まずはそれについて見てみよう。
紙・板紙の消費が伸びる中国、IT化の影響が顕著な先進国
図1のように、板紙の消費量推移は、米国、EU、日本ともにほぼ一定である。2012年における対2000年比は、米国、EU、日本がそれぞれ、94%、113%、90%である(EUは東欧を含むために増加傾向にある)。対して中国は271%と大幅に増加し、世界一の板紙消費国となった。
しかし、米国、EUともに人口は増加している。そこで、この間の板紙1人あたりの使用量を比較してみると、図2のように2000年に対して2012年には米国、EU、日本がそれぞれ、85%、107%、89%である。
日米は漸減傾向にはあるものの、その変化は小さい。米国、EUも急激な変化は見られない。中国はここでも253%と大幅に伸びている。