第1回カンボジア大学対抗ロボットコンテスト(以下、ロボコン)まであと1カ月。参加者のための制作用パーツもタイで調達に成功し、無事参加者たちに配られた。後は、参加学生たちがロボットを作り上げるのを待つばかりである。

人気の文化交流イベントで試作機をお披露目することになったが・・・

 ところで、ここプノンペンでは2011年の震災以来、「日本・カンボジア絆フェスティバル」という日本大使館とCJCC(カンボジア日本人材開発センター)共催の大きなイベントが、震災翌年の2月から毎年行われている。

 日本とカンボジアの文化交流を目的としていて、カンボジアと日本のアーティストが競演するポップコンサートやクラシックコンサート、コスプレショー、日本の武道などの紹介から、プノンペンで活躍する日本人シェフによる料理対決ショーなど、様々なイベントが4日間にわたって行われ、昨年はなんと入場者が8000人を超えたのだという。娯楽の少ないカンボジアでは、このイベントを心待ちにしている人も多いと聞く。

 その「日本・カンボジア絆フェスティバル」に各参加大学から代表チームを出してもらい、ロボコンのデモンストレーションを行うことになった。

 とにかく、ここカンボジアでロボコンを知っている人はほとんどいない。だからまずは「ロボコンとは何か」を知ってもらい、興味を持ってもらうには、目の前で動いているロボットを見せることが一番の早道だと思ったのだ。

 大会の運営を行うことも、もちろん大事だが、その大会を盛り上げ、大会を放送する番組をより多くの人に見てもらうことも、プロデューサーとしての大きな役割だ。だから先週はパーツの調達にタイに行ったが、今週は広報のための「日本・カンボジア絆フェスティバル」参加の準備なのである。

 まあ、プロデューサーというのは、名前はカッコイイけれど、企画からお金を集めるための営業、カネ勘定、スタッフ編成、スケジューリング、広報、制作・・・そして今回はパーツ集めと運び屋も・・・と、要するに1つのイベントを成立させ、それを成功させるための「何でも屋」なんである。

 ということで、デモをやるにあたって、不安なことは2つあった。

 パーツの到着が大幅に遅れていたので、曲がりなりにも動くロボットが1つでも2つでも完成しているのかどうか、ということ。

 そして、もう1つは、たとえ参加校からのロボットが揃ったとしても、それは単純な「ライン・フォロワー」のロボットである。黒い競技盤の上に描かれた白い曲線をロボットがセンサーで感知してただただ走っているだけのものだ。

 特に今回のデモはその速さを競うわけではなく、ただ制作途中のロボットを走らせて見せるだけ。そんなものがお客さんにとって面白いのか、ということ。