2月14日のバレンタインデーが近づくと街の至る所でバレンタインデー向けのグッズが売り出され、ネットのショッピングモールからもどんどん広告メールが送られてくる。韓国でのバレンタインデーは、日本の影響を受けて女子が男子に告白するためにチョコレートをプレゼントする日ということになっている。

韓国のバレンタインデーは日本の陰謀?

 また義理チョコという“悪しき”慣習も輸入されているが、面白いのは職場においての義理チョコは、男性だけでなく女性にも渡すという珍風景が繰り広げられるということ。こうなると、淡い恋を告白する日という面は影を潜めてしまっている。

 さて、今年も恒例のバレンタインデー商戦は1月下旬頃から始まっているが、それに加えて今年は歴史認識に関する話も絡んできた。

 実際、バレンタインデーは西洋では恋人同士が愛を語る日であるようだ。これも元を辿ってみると269年にローマ皇帝の迫害の下で殉教した聖バレンティヌスに由来する記念日だという。だが、現在韓国で論じられている歴史認識は聖バレンティヌスとは無関係のものである。

 こうした情報はいつものようにカカオトークという無料のSNSメールサービスによるものであった。

 それによると、1910年2月14日に安重根義士が死刑宣告を受けた日なので、2月14日はチョコレートを渡すようなチャラチャラしたバレンタインデーを祝うより、安義士の深い愛国心を追悼する日であるということだ。

 日本の方には馴染みが薄いかもしれないが、韓国で安重根の名前を知らない人はいない。日韓併合される前の大韓帝国時代の民族主義活動家で、初代韓国統監を務めた伊藤博文を1909年10月26日満州の哈爾浜(ハルビン)駅構内で銃殺した人である。

 日本にとっては、初代内閣総理大臣である伊藤博文を殺した暗殺者だが、韓国では義士と呼ばれ英雄視されている。