本年10月、ロシアNIS貿易会(ROTOBO)で講演する機会があり、「新旧入れ替えが進むロシア進出日本企業とその商品」という包括的なテーマでロシア市場における日本企業の入れ替えが急ピッチで行われていることをお話しした。

 年末のこの時期、講演の繰り返しになる部分もあるが、本年度のロシア市場と日本商品の関係を振り返ってみたいと思う(講演記録はROTOBO経済速報11月25日号に掲載)。

ここ2~3年で様変わりの売れ筋日本商品

キヤノンのブースでプロに撮影してもらったポートレートをプリンターで出力してもらい幸せそうな笑顔の来場者。コスプレ参加者以外もこのように浴衣を着て楽しむようなムードが今年は満ちあふれていた。イベント定着してきた証拠だろう

 ロシア市場、特に消費財市場を観察していると、日本商品を囲む状況がこの2~3年で大きく変化していることに気づく。

 具体的には、

(1)日本製品の減少
(2)地方で売り上げを伸ばす製品の出現
(3)日本製造でない日本企業製品の増加

 などであろうか。これらの要素が複雑に絡み合って、新しい状況を生み出している。

 先日、日本から出張に来られた某玩具メーカーの方とお話をする機会があった。商品名を言えば、すべてが分かってしまうが、要するにドールハウスで大成功されたメーカーさんである。

 同社のロシア向け輸出は毎年確実に増えていて、今や輸出先としてトップ5に入るまでに成長したとのこと。生産は同社の中国工場、これを香港の子会社から輸出していて、そこには日本が絡むものは何もない。

 にもかかわらず、消費者は商品に日本への信頼を感じて、購入に踏み切る。

 拙稿で何度か取り上げている讃岐うどんレストラン「丸亀製麺」を展開するトリドール。既にモスクワ市内に5店舗を運営するトリドール・ロシア社であるが、日本での「丸亀製麺」とは違い、お客さんには若い女性が多く、店内滞留時間も長くて30~40分なんてざらである。高級感のあるソファに陣取り、ゆったりと時間を楽しんでいる。