本記事は11月18日付フィスコ企業調査レポート(GMOアドパートナーズ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲
本資料のご利用については、必ず記事末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。当該情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。
積極的な経営展開で市場を上回る業績拡大へ
GMOアドパートナーズ<4784>は、GMOインターネットグループ<9449>のインターネットメディア事業の中核を担う。2011年に広告代理店のNIKKOを買収するなどエージェンシー(ネット広告代理店)事業も強化。積極的なM&Aによる販路拡大も進めながら、総合ネット広告代理店グループとして一段の成長を狙う。
2013年12月期の第2四半期の累計業績(2013年1-6月期)は、売上高が前年同期比20.7%増の9,331百万円、営業利益が同25.3%増の401百万円となった。3月に子会社化した検索サービスのJWordの業績が上乗せ要因となったほか、スマートフォン向け広告の売上高が好調に推移したこと、アドネットワークサービスなど自社商材が順調に売上高を伸ばしたことも寄与した。
2013年12月期の通期業績は売上高が前期比30.1%増の20,000百万円、営業利益は同36.4%増の745百万円となる見込み。2012年12月期に計上した匿名組合投資利益が無くなるため、経常利益は同0.1%増と横ばいにとどまるが、7月以降も新たに2社を子会社化するなど、積極的なM&Aを展開。次世代広告であるアドネットワーク事業も順調に拡大しており、足元はほぼ計画通りの進捗となっている。
M&Aを活用した自社商材比率の向上、アドネットワーク事業の拡大によって、売上高の拡大と同時に収益性を高めていくほか、先進技術を持つ海外企業との提携も行うなど、積極的な経営展開によって同社の業績は、今後もインターネット広告市場の成長を上回るスピードで拡大することが期待される。一方で、配当性向35%を目途に配当を実施しているほか、株主優待制度も導入するなど、株主還元に積極的な企業の1つとしても注目されよう。
Check Point
●NIKKO、JWordの子会社化で事業構成が大きく変化
●通期ではトライズデジタルベースも収益に好影響の見込み
●付加価値の高い自社商材を増やし収益性の向上へ
インターネット広告市場
広告枠を広告代理店・広告主に卸売するメディアレップ
(1)インターネット広告業界の構造について
同社の事業領域であるインターネット広告市場の業界構造を簡単に説明すると、広告を掲載する媒体(Yahoo!やMSNなど大手ポータルサイトからmixi<2121>、GREE<3632>、Facebookなどソーシャルサイトに至るまで多種多様)、その広告枠を広告代理店または広告主(広告出稿者)に卸売(販売)するメディアレップ、そして広告代理店と最終クライアントである広告主で構成されている。テレビや新聞など従来の広告媒体とインターネット広告の違いは、媒体と広告代理店の間にメディアレップが存在する点にある。インターネット広告ではリスティング広告やバナー広告、ディスプレイ広告などその種類は様々である。また、掲載枠の場所、大きさによっても料金が違うなど、その種類、料金体系は多岐に渡っている。メディアレップ事業が、こうした様々な広告枠のなかから、適切な広告枠を選別する役割を果たしてきた。GMOアドパートナーズでは、さらに今後はネットメディア企業の収益最大化を支援する役割を担うことを目指している。