『中山泰秀のやすトラダムス』(11月10日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、国会で審議中の特定秘密保護法案や国家の情報収集活動について解説したほか、中国の対アフリカ戦略などを取り上げた。 

特定秘密保護法案は国民の知る権利をどう担保するか

中山 「日本版NSC(国家安全保障会議)創設関連法案」は7日の衆院本会議で、与党や民主党などの賛成多数で可決され、参院でも審議入りしました。また、これと並行して「特定秘密保護法案」も国会で審議が進められています。

 自民党の石破(茂)幹事長は滋賀県彦根市で講演し、特定秘密保護法案について「1つでも多くの党の賛成を得て成立させたい」と述べ、野党側との修正協議に柔軟に対応する考えを示したそうです。

 この法案にはまだ検討すべき課題が多く残されています。その意味でも、石破氏が指摘しているように、野党の意見に真摯に向き合う姿勢は大事だと思います。

 もともと特定秘密保護法案が議論されるようになったのは、2010年9月に沖縄・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件の映像が、一色(正春)元海上保安官によって動画サイトに流出したことが1つのきっかけです。

 一色氏は日本の国境線で起きた真実を明らかにしましたが、時の民主党政権は一色氏を逮捕し、公務執行妨害で逮捕した中国人船長を釈放してしまった。この事件後、秘密保全に関する法制について検討する動きが当時の民主党内で起こり、それが今の自民・公明連立政権でも続けられています。

 私は、秘密の内容に応じて情報公開の年限をあらかじめ決めておくべきだと考えています。今のところ特定秘密の有効期間は5年以内ですが、内閣が承認すれば30年を超える延長もでき、「いつまで経っても公開されない」ということにもなりかねません。

 民主主義国家における秘密は基本的に将来の公開が前提です。すなわち、すぐに公開すると国民の生命と財産に悪影響を及ぼす場合には、国民との契約範囲内で秘密にし、数年後に公開する。

 米国の情報自由法(FOIA: Freedom of Information Act)を見ても、永久秘密に指定される情報もありますが、75年間を上限として将来的には公開されます。

 日本でも、年限を設けて段階的に情報を開示したり、国民に請求権を認めることが必要だと思います。また、国民側にとっても、治安維持のために必要な情報の保全に協力する姿勢が大事ではないでしょうか。

オウム事件解決の足掛かりになった国による情報収集

 秘密保全について解説しましたが、これに関連した海外の話題を取り上げます。米国ABCテレビのトーク番組で、「中国人を皆殺しにすればいい」という発言があったことを受け、在米中国人らが抗議活動をする騒動に発展しています。