米国で放映中のテレビドラマ『スキャンダル:託された秘密』は、昨年4月から始まった政治サスペンス番組である。現在3シーズン目に入っている。日本でも衛星放送で視聴可能だ。
高い視聴率を維持している要因は、主役を演じる女優ケリー・ワシントン氏の好演もさることながら、同氏が取るある行動のおかげと言われている。それはツイッターの新活用法にある。
つぶやきで視聴者数が数倍に
著名人がツイッターで情報発信することは日本でも珍しくない。だがワシントン氏がツイートする背景には、ツイッター社のメディア部門が絡んでいる。
同部門トップのフレッド・グレイバー氏が仕組んだ企画が見事に功を奏しているのだ。それにより通常より何倍もの視聴者が同番組を観るようになった。
グレイバー氏が考えたのは、ワシントン氏本人に番組放映中、撮影秘話や画像、裏話をツイッターで発信させることだった。ドラマの場面ごとにハッシュタグがつく。
ツイッター利用者は実際に主役を演じる女優からのツイートに、敏感に反応した。誰も知らない情報だ。そして当番組を観るようになった。テレビドラマから遠ざかり始めていたネット利用者を再びテレビの前に呼び戻すことに成功したのだ。
それはまさしく「テレビとツイッターの共演」だった。
この成功もあって、ケリー・ワシントン氏は月刊誌『ヴァニティ・フェア』8月号の表紙を飾ることになった。そして毎年人気を博したテレビ番組に与えられるエミー賞の主演女優候補にもなった。
ワシントン氏は共演者にもツイッターでの情報発信を促した。それにより、同番組関連のツイート本数は1分間で2200本を超えるまでになり、世界中の最多ツイートのベスト10のうち5つまでを同ドラマが占める快挙まで達成した。
ワシントン氏は「出演者は誰もがツイートすべきです」とグレイバー氏の考えを広める側に立っている。グレイバー氏は米メディアとのインタビューで、「ツイッターを利用することで、テレビを今まで以上に楽しんでほしい」と述べた。