本記事は9月17日付フィスコ企業調査レポート(ワイヤレスゲート)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲
本資料のご利用については、必ず巻末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。
Wi-Fiトップシェアの無線通信アグリゲーター
複数の通信事業者から通信回線網などのインフラを借り受けて、無線通信サービスを組み合わせて提供する「アグリゲーター」として事業を展開。Wi-FiとWiMAXの無線通信サービスを提供しており、Wi-Fiサービスでは業界トップシェアを持つ。筆頭株主であるヨドバシカメラが主な販売取次店となっている。
2013年8月5日付で発表された2013年12月期の第2四半期累計(1-6月)の連結業績は、売上高が前年同期比30.6%増、経常利益が同28.6%増と2桁増収増益となり、過去最高益を更新した。Wi-Fi+WiMAXサービスを中心に、加入者数が6月末で約38万人(前年同期比15%増)と順調に拡大したのが主因だ。また、2013年6月から新たにオプションサービスとして電話リモートサービス(月額480円)を開始するなど収益源の拡充も進めている。
2013年12月期の通期業績見通しは期初計画通り、売上高が前期比27.6%増、経常利益が同39.0%増と2桁の増収増益を見込む。スマートフォンやタブレット端末などスマートデバイスの市場拡大を背景に、契約者数も引き続き拡大が見込まれる。新規販売チャネル(携帯電話販売会社)からの契約数も着実に増加しており、今後の収益上乗せ要因になるとみられる。WiMAXサービスでは2013年10月末にも新たな高速通信サービスWiMAX2+のサービス開始が予定されており、新規需要の取り込みも注目される。また、オプションサービスに関しても、2013年12月期中に新たに1~2種類のサービス開始を見込んでおり、ARPU(加入者当たり売上高)の増加に寄与する見通しだ。
同社は2013年9月1日付で1:2の株式分割を実施。一株当たり配当金も50円で2013年12月期から開始する予定とし、配当性向は52%となる。業績は加入件数の増加によって引き続き拡大が見込まれること、ビジネスモデルの特性上、設備投資などの資金需要が少ないことから、利益拡大とともに配当金も着実に増加していくことが期待される。
Check Point
●Wi-Fi、WiMAX、LTEの無線通信を展開、Wi-Fiは業界最大規模
●通期で最高益更新へ、新販売チャネルと新サービスで上積みも
●今期より50円配当開始、今後の増益に伴う増配にも期待
事業概要
売上高の99.8%がワイヤレス・ブロードバンドサービス事業
(1)事業区分別の事業内容
同社は複数の公衆無線LAN事業者が保有するWi-Fiスポット(注1)や複数の通信事業者の通信回線網を借り受け、アグリゲーターとして最終ユーザーに各無線通信サービスを組み合わせて提供する通信サービス事業を行っている。
(注1)Wi-Fiスポット: Wi-Fiとは無線LANの一種で、無線LAN関連製品を扱う業界団体であるWi-Fiアライアンスにより、無線LAN機器間の相互接続性を認証されたことを示す名称。Wi-Fi搭載機器は公衆無線 LANサービスなどによりインターネット接続が可能となる。Wi-Fiスポットとは、鉄道の駅や空港、ホテル、カフェなどの商業施設で、無線LANを利用したインターネットへの接続が可能な場所を言う。