テレビの視聴率を簡単に上げるには子供、動物、食べ物だとよく言われる。実際、韓国でもそれらが出てくる番組は内容はともかく高視聴率を維持している。子供、動物は大抵かわいらしいし、おいしそうな食べ物は私たちのお腹に訴えてくるからだ。

主人公の平均年齢が76歳、7月に始まった「花より爺」

「花より爺」の主人公の1人パク・グンヒョン

 では、そんなかわいくも若くもない人たちでいっぱいの番組はどうだろうか。7月に始まった「花より爺」は、韓流ドラマ界の大御所4人とそれよりずっと年下の男優1人が繰り広げるリアリティ番組である。

 4人の爺たちの平均年齢は76歳、合計302歳。そして1人だけ若い男優~と言っても1971年生まれなので一般人の年としては立派な中年~が織りなすリアリティ番組なんて、最初は全く期待されなかった。

 が、開けてびっくり。7月に始まったばかりなのに、すでにテレビCMも決まり、番組の挿入歌も着メロとして売れ、メッセージのアイコンとしても売れ、メンバーたちはマスコミに引っ張りだこである。

 爺たちはそれぞれドラマの中では威厳のある役柄だったり、狡猾な狸おやじだったり、認知症の老人たちだったりしており、バラエティではあまり見ることのできない人たちである。

 だが、「花より爺」では健康で気さくな隣のおじいさん的な素顔を見せている。そんなテレビのイメージとは裏腹なお茶目な素顔と一緒に、イケメン俳優が爺たちによって使いっぱしりにされたり、タジタジになっている姿などが、女性ファンを増殖させているらしい。

 コンセプトは、「爺たちのバックパック旅行」。これを企画したディレクターは、地上波で「1泊2日」というバラエティ番組(旅リアリティ番組)を制作していた人である。

 1泊2日の看板タレントだった「カン・ホドン」が、個人的な事情で仮引退をしたため、番組の改編に伴って地上波の局を辞めて、大手のケーブルテレビに転職した。