有史以来、人類は数限りない興亡を繰り返してきた。そして多くの歴史書に、ある文明は燦然と輝き、多くの人たちが豊かに暮らした時期や場所があったことを示している。

 しかし、これらを概観すると豊かで幸せな時代の継続は少なく、歴史の大半が大小様々な抗争に明け暮れたのが実態であると言えよう。将に我々が住んでいるこの地球上においては今なお、多くの流血や悲惨な抗争が連日展開されている。

 このような不毛な争いを根絶することができるのか?

 その答えは残念ながら歴史を振り返って見る限り絶望的である。ことに産業革命以降、科学技術が発達し、人力・家畜力に加え高度な兵器を戦闘に大規模に利用できるようになった第1次世界大戦では人類史上未曾有の殺戮を経験した。

 その結果、悲惨な戦争を話し合いで解決する方策として、米国ウッドロウ・ウイルソン大統領による国際連盟の提案があり、平和構築への画期的な第1歩が期待されたが、戦後最強となった米国が発案国でありながら加盟しないと言う重大な欠陥組織になってしまった。

 そして、四半世紀後に再び一層大規模で悲惨極まりない第2次世界大戦が勃発した。戦争末期には防空能力を失った都市の絨毯爆撃を繰り返えし、人類史上初めての原子爆弾を広島・長崎に投下するという、軍事的には全く無意味で大半の犠牲者が乳幼児・老人を含む一般市民という卑劣な蛮行の大殺戮が行われた。

 この短期間に、全世界を巻き込んだ2度もの悲惨極まりない大戦の経験から国際連盟の失敗を反省した国際連合が結成され、5大戦勝国を常任理事国とする強力な平和維持機構が発足した。

 しかし、この国際連合と雖も大国のエゴや思惑が交錯して期待した成果は不十分なまま現在に至っている。

 第2次世界大戦後、通常戦力のみならず、強大な核戦力を保有する米ソが東西陣営のリーダーとして世界を大きく二分した冷戦構造が出来上がり、キューバ危機で両国が核戦争をも辞さないと言う激しい対決に発展し、あわや地球が破滅するかと言う瀬戸際にまで立ち至った。

 その後、ソ連陣営の経済的破綻、ベルリンの壁の崩壊、ソ連邦の解体で東西の軍事対決が緩和され、これで平和な世界に向かうかと思われた。

 しかし、民族・宗教・貧困など多種多様な問題が以前にも増して顕在化し、相変わらず混沌とした紛争が世界各地に拡散して平安な世界には程遠いのが現実である。

 最近、そのような混沌とした世界情勢の中にあって経済力を蓄え軍事力の増強を進める中国共産党政権が強権的な姿勢で現状の国境線変更を図ろうとする覇権主義を顕わにしている。その結果、極東アジアは急速に危険な地域に変貌している。

科学技術の発展と知性の退化

 ではなぜ人類はこのような不毛な争いをするのか?

 人間には闘争心・競争心があり、それが社会の活力を生み向上発展につながっていることは論を俟たない。

 人間に限らず、すべての生き物の世界では自分のコミュニティを守り、生存を守るのは当然の権利であり、行動である。

 しかし、人類以外の生物は自分の生存を支える源、すなわち餌や肥料などの栄養素を個々の生命体が自ら確保しなければならず、太陽の恵みを根源とする自然任せの栄枯盛衰となっている。

 対して、我々人類は生物的に発揮できるエネルギーに加え火の利用を知って以降、急速に勢力圏を広げ、生存に必要な物の獲得・流通や保存を容易にできる手段を見出した。さらに歴史とともに先人の経験を集積した高度な学問を習得し、知識を発展させ、石化エネルギーや原子力エネルギーまで自由に制御するようになった。