今回は、ヨーロッパの教会堂を写した1枚の写真からお話を始めたいと思います。

 見たところ何の変哲もない大聖堂の写真・・・と見えるかもしれません。奥の方、中央には祭壇のようなものが見え、高いところにはイエス・キリストの像も下げられている。何も変わったことのない、普通の教会と見えるかもしれません。

 でも、よく見てみてください。何か変なことに気がつきませんか?

 椅子です。椅子の向きに注意してみてほしいのです。そう、この教会堂では、祭壇やキリスト像に会衆が背を向けて座るように、椅子が設置されているのです。

*アインシュタインを生んだ町の反逆大聖堂

 この不思議な教会は「ウルム大聖堂」正確には「Ulmer Muenster」と呼ばれる建物で、実は現在でも(キリスト教)宗教建築としては世界最大の規模を誇り、パリのノートルダム寺院やケルンの大聖堂よりも高いゴシック式の尖塔を持つことで知られている建築物です。

 しかし、そんな立派な教会で、なぜ「祭壇に背を向けて会衆が座る」ようになっているのでしょう?