私がプロジェクトディレクターを務めているJAOS海外留学協議会では、現在、厚生労働省の委託事業である「平成25年度 勤労青少年の国際交流を活用したキャリア形成支援事業」(通称Global ACE)を推進しています。
そこで感じるのは、海外体験で身につく能力やマインドと、企業が社員に求めているそれは非常に近しいものであること。語学力はもとより、主体性やコミュニケーション能力、創造力、チャレンジ精神、ストレスマネジメント力といった要素です(詳細は同事業のウェブサイトに掲載)。
また、留学事業会社大手のISS国際交流センターで40年間留学業界に携わり、これまで5万人以上の留学を支援してきた大塚哲雄社長が『若者からシニアまで今こそ留学!』を先日出版されました。
そこにも留学をはじめとする海外体験から得られるものが、具体例を交えて紹介されています。自分の意見を持つことや日本を見つめ直すといった、「~力」などの能力として定義されない領域を開拓することも海外で得られる貴重な財産であることを改めて感じさせられます。
海外留学がもたらす自己発見
その著書の中で、こんなエピソードが紹介されています。英語力抜群の優秀な女性がイギリスへ留学したのですが、すっかり自信をなくしてしまったというのです。英語が分からないわけではないのに会話に参加できなかったためです。
なぜか? それは話すべき意見を持っていなかったからです。
例えば、医療保険改革についてどう思うか、妊娠中絶についてはどうか、原発については・・・等々、様々な質問をされるのに、どのように答えてよいか分からなかったといいます。
日頃からそのようなことを考えたり、意見交換をすることがなかったため戸惑ってしまったわけです。
日本の国会や法律について、また茶道や能、文楽をはじめとする文化、日本人のボランティア意識についてなど、相手が日本に関心があればあるほど、教えてほしいと言われ、それはなぜと問われ、そのことについてあなたはどう思うかと質問攻めにあうのです。