パシフィコ横浜の特別展で、冷凍マンモスを見てきた。3万9000年前のメスの子供マンモスだ。2010年の夏にロシアで発見され、その土地の名前、ユカギルにちなんで「YUKA(ユカ)」と名付けられている。日本の女の子にある名前なので、俄然、親しみが湧く。

3万9000年前の永久凍土の中に眠っていたマンモスの子供

マンモスの「ユカ」、横浜で特別展開催

特別展が開催される横浜で報道陣に公開された雌のマンモス「YUKA(ユカ)」(2013年7月9日撮影)〔AFPBB News

 YUKAのあごの下と背中には大きな裂け目があり、中身の多くは抜け落ちているが、頭蓋骨や脳、骨盤、数本のあばら骨や腸の一部はちゃんと残っている。

 また、皮膚は鼻先から尻尾までほぼ完全な状態だし、毛もそのまま、四肢も揃っている。これまで発掘された冷凍マンモスの中では、最大級であるばかりでなく、最高の保存状態だという。

 YUKAが発見されたユカギルというのは、ロシア連邦のサハ共和国の一番北方にある。ユカギルがどこにあるかというと、北海道から樺太を突き抜けて、そのままひたすら北上していって、最後、北極海に出る直前の辺りになる。

 サハ共和国は、ロシアの中でもかなり東に位置し、日本の8倍の面積を持つが、人口は100万にも満たない。住人の顔はモンゴル人のようだ。首都のヤクーツクは、厳寒期にはほとんど零下50度に達するという。

 一度、テレビのドキュメントで見たことがあるが、コップのお湯を空中にさっと放つと、一瞬の間に固まる。

 トラックの運転手は、一度エンジンを切ると二度と掛からなくなるので、冬中、エンジンを切らないという、信じられない話をしていた。エンジンを回しっぱなしで給油しても、温度がこれだけ低いと、引火の心配もないのだろう。

 いずれにしても、そこの永久凍土の中で、YUKAは凍てついたまま、3万9000年ものあいだ、海岸の脇に埋まっていたのである。ところが、2010年夏、おそらく温暖化のせいだろう、その崖が溶け崩れ、YUKAの足が飛び出し、宙づりになった身体から毛皮が簾のようにぶら下がっていたところを発見されたのだった。

アルプスでドイツ人夫婦が見つけた5000年前の「他殺体」

 こういう話は、とても好きだ。実は2008年にも、イタリアの南チロルに、「エッツィ(Ötzi)」を見に行ったことがある。

 エッツィというのは、5000年以上も前にアルプス越えをしようとしていて、何者かに弓矢で射殺された男性だ。それ以来、やはり氷河の中で眠っていたのだが、こちらも氷が溶けて、登山道に露出していたところを、トレッキング中のドイツ人夫婦に発見された。