今年も早6カ月が過ぎた。冬の間は寒く、原発の停止による節電が呼びかけられて、湯たんぽがよく売れた。東北各地や北海道は十年に一度という豪雪となり、都心でも大雪の日があった。そのせいか、桜の開花がかなり遅れた。

 スギ花粉は、昨夏の気温が高かったため、例年の倍以上の量が飛散した。さらに中国から飛来する黄砂に汚染物質・PM2.5が加わり、微粒子を防ぐ高性能のマスクが飛ぶように売れた。

 こうしたことも、あえて記憶を呼び覚まさなければ思い出せないのだから、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という諺の正しさに感心するばかりである。それとも、私が忘れっぽいだけだろうか。

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 現在につながる出来事としては、スポーツ界に根強く残る「体罰」(=暴行)を容認する体質と、組織運営の不透明さの問題がある。

 年明け早々の1月8日に、大阪市立桜ノ宮高校でバスケットボール部の顧問による「体罰」によって、男子生徒が自殺していたことが発覚した。それに呼応するかのように、同月29日には柔道女子選手15人がロンドン・オリンピックでの監督による「体罰」とパワハラを告発した。その後、日本柔道連盟内部の問題が次々と明らかになり、今に至るも解決への道筋は見えていない。

 野球界では、これまで2連覇していたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表チーム「侍ジャパン」が準決勝で敗退した。敗戦に繋がる走塁ミスを犯した内川聖一(ソフトバンク)は傷心していたが、見事に立ち直り、今シーズンも高打率を維持している。

 その一方で、昨年のセ・リーグ首位打者・長野久義(巨人)は不振が続いている。また、昨年のセ・リーグ最優秀防御率の前田健太(広島)も故障続きで本来の力を発揮できていない。

 どちらも実力は折り紙つきだから、不調の原因はWBCで用いられた国際規格のボール(メジャー球)に戸惑ったためと、プロ野球ファンなら誰もが思っているはずだ。巨人の原監督が2割5分を切る打率の長野を辛抱強く使い続けているのも、広島の野村監督があちこち痛がるマエケンに厳しい態度を取らないのも、2人の不調が「公傷」に近いものだと考えているからだろう。