1口100万元で、償還期限は2年、年利8.3%をうたうインフラ投資がらみの投資信託もあれば、年利9.2%をつける地方の不動産開発の商品もある。資金は資本金の基準を満たさない地方の中小不動産デベロッパーなどに流れるケースも多く、不良債権化が懸念されている。銀監会はシャドーバンキングから投資信託商品を切り離したい意向だ。

新たな社会不安を生み出すのか

 2013年第1四半期までに、中国国内の財テク商品の規模は13兆元(1元=約16円)に達したと言われている。2011年、中国の商業銀行だけでも8.91万の財テク商品を発行し、同年末時点の発行残高は4兆5900億元にも上った。また、全国233行の銀行と金融機関が取り扱う財テク商品は7兆1000億元だともいう。そのうち、一般個人は6割以上も占める。

 6月下旬には、総額1兆5000億元(約24兆円)の財テク商品が償還満期を迎えたと言われている。だが、銀行の資金不足で償還が困難になるとの憶測もあり、財テク商品の焦げ付きが心配されている。

 上海在住の王さん(仮名)は、数年前、投資信託に手持ちの資金の多くを投じた。投資信託は、元本保証がないハイリスク・ハイリターンの商品であることも知っていた。動機は「息子が結婚するため、家を購入する資金を作りたかった」から。息子の面子のためには、なんとしても短期のうちに頭金を稼ぎ出す必要があった。しかし、投じた資金が収益を上げることはなく、3割減にも近い惨憺たる結果に終わった。王さんは病に倒れ、床に伏したままの生活を送っている。

 上海では王さんのように財テクで失敗した人が無数に存在している。株にも裏切られ、「財テク商品」で大損しと、行き場を失った個人マネーと恨み節。これがまた新たな社会不安を生むことを想像するとますますやりきれない思いだ。