中国経済の減速が鮮明になってきた。当初、2013年の経済成長率は12年の7.8%から8%半ばに回復すると見られていたが、国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)などの国際機関は前年並みの成長になる弱気の見通しを発表した。

 中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.6と50を割った。マクロ経済から見るだけでなく、財界でもこれからの景気動向について悲観論が漂ってきた。

製造業は過剰設備が顕著

 なぜ景気が減速するようになったのだろうか。最大の理由は、輸出と投資に依存する成長モデルの転換が遅れていることに加え、国内消費が思ったよりも盛り上がらないからである。

 金融当局は景気を刺激するために、金利を据え置く一方、量的緩和を実施している。市中に流動性が不足しているわけではないが、企業の投資マインドと家計の消費性向が改善されないのは問題である。結局のところ、大量の流動性が不動産市場に集中し、景気が減速しても、住宅価格は高止まりしている。

 国内市場に焦点を当てれば、自動車、家電、携帯電話といった景気を牽引してきた製造業は過剰設備が顕著となり、市場が価格競争に陥り、デフレになっている。自動車メーカー各社は値下げを実施しても、売れ行きは改善しない。

 現在、中国の自動車生産能力は2000万台に上るが、発展改革委員会の推計によれば、約500万台は供給過剰である。現存の生産能力の25%は過剰設備という計算になる。

 企業にとって過剰設備を抱えることは重荷になり、それを償却しなければ、不良資産になる。過剰設備で作った製品は売れなければ在庫となり、有利子負債をたくさん抱えている企業であれば、在庫が積み上がることは倒産につながる。

成長一辺倒の経済政策の弊害

 最高指導者だった鄧小平が推し進めてきた「改革開放」政策は、開始から三十余年が経過した。その間、中国経済は年平均10%近い成長を成し遂げ、2010年には世界第2位の経済大国に成長した。

 しかし、投資と輸出に依存する経済成長は持続不可能である。特に金融危機と債務危機により欧米諸国の需要が大きく落ち込んでしまい、中国にとっての輸出はかつてないほど厳しい状況となっている。